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地球と似通いながら、まるで違う生態系を育んだこの星の成り立ちを思う……。
そう、均質化した遺伝子しか持たない程に、彼女達の遺伝子は他者との親和性が高く交わりは容易なのだろう。一律の遺伝子を保有し、一つの病原菌の前に一息に絶滅する危険を孕みながら、その交接の容易さが異星からの来訪者さえ受け入れる。
僕はもう終わるけれど、未来に子孫を残せられるのかと意識する前に、唇を割って言葉が滑り出ていた。
これ程に神々しい存在と、交わって良いものかと不安と畏れが胸を込み上げて来て。
「僕で……良いのか」
空気はもう残っていない。
呼吸の苦しさに、どうしても言葉は途切れ途切れになる。
意識をテレパシーとして直接相手に届けられない僕には、言語に因る意思の伝達しかないから必死に声を絞り出した。
貴女に初めて会った瞬間から、貴女の美しさに惚れていたと。好きだったと、まるで思春期の頃の様な一途な恋心を乗せて。
(ルカ)
彼女が短く伝えて来た意識に、僕は苦しさを忘れて再び目を見張った。
名乗ってもいない僕の名前だった。
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