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僕の提案に、二人の美少女は呆れた顔をして、もうそれでいいかと半ば適当な了承を得て、三人で帰ることになった。
「僕は歩いて帰るけど二人はどうやって帰るの?」
靴箱の前で各々が靴を履いている最中。僕が二人に向かって質問をした。
「私は電車だから、駅までは歩いて帰るから、そこまでは方向が同じかな」
靴を履き終えた島田さんは、僕の前に立つと僕の顔を覗き込むようにしてニコッと笑顔を見せながらそう告げる。
島田さんの行動に、僕は恥ずかしくなって咄嗟に目線を逸らす。するとその視線の先で、雫が座りながら丁寧に片方ずつ靴を履いていた。
「私は翔君について行くよ」
当たり前の様にそう言った雫は「よいしょっ」と声を出して立ち上がると、スカートをパタパタと叩いてから、僕の左側が定位置だと言わんばかりにスッと僕に近づいてくる。
雫の行動に対応するようにして島田さんは慌てて僕の右側に移動すると、僕を挟むような形で二人は視線を交わす。
「その……帰りましょうか」
「うん」
「そうだね」
何処か似ている二つの声に挟まれて歩き出した僕達は、周りとは明らかに空気感の違う二人のおかげもあってか、周りの人達からの目線を集めながら学校を後にした。
「それで、どうかしたの島田さん?」
「へ?」
雫を睨み続けることに集中していたのか、僕の質問に島田さんは腑抜けたような声で返事をしてくる。
「ほら。だって朝挨拶をするぐらいで、僕達こんなに話したことなんて無かったから」
「いや、それはその……」
僕の質問に、島田さんは何かを探すよう空中で両手を動かす。
「あれ、そうなの?」
島田さんが答えるよりも早く、雫が不思議そうな声を出して、僕の前から島田さんの顔を覗き込むように、前のめりになって質問をしてくる。
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