5日目前半

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3 「おはよう」  そう言って、いつも通り横の席に来て話しかけてくる島田さんに、僕は勝手に苛立ちを覚えながら普通を装って返事をする。 「うん、おはよう」  僕がそう挨拶をすると彼女の目は直ぐに鋭くなり、僕はその視線に耐え切れず咄嗟に俯いてしまう。  僕のそんな顔を見て、彼女は顔を歪ませた後に何かを言おうとしていたが、いつも通り人の波が現れて彼女の姿は見えなくなってしまう。  その光景にホッとしてしまう自分がいて、そんな自分がすごく嫌いで、僕は全てを拒絶する様に机に突っ伏して腕の中に顔を隠すと、周りの音が消えていくのを感じながら目を閉じた。 「翔君」  雫は僕をそう呼んで、こんな僕に対しても笑顔を向けてくれる。  その事がさも当然かの様に、僕を信頼して彼女はいつも本音で話してくれていた。  そんな雫の信頼に、僕は調子に乗って彼女の事など一切考えずに、彼女の優しさに甘えてしまっていた。 「翔君」 (ああ、ごめんな。お前の気持ちも考えないで……) 「翔君」 (お前のことを信じるなんて言って、こっちから一歩も踏み出そうともしないで……) 「翔君」 (こんな情けない親だけど、どうか、どうか……)
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