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「それで、なんでまた僕の子供だなんて」
僕がそう言うと、雫は思い出したかのようにコーヒーを僕達の間に置いて、先ほど弄っていたスマホを手に取る。
「そうそう、これこれ」
雫は僕に見やすいように考慮してくれたのか、スマホの画面を僕の顔のすぐそばまで持ってくる。
雫が向けてきたスマホの画面を見ると、そこには『パパのアルバム』と書かれたフォルダが表示されていた。
「なんだこれ?」
「これは昔お父さんが、書いてた魔法のノートとか、おじいちゃんからもらった子供の時のアルバムを残しているやつ」
雫が説明をしながら開いたフォルダの中には、確かに子供の時の僕の写真や、中学の頃に書いていた、封印したはずの魔法の呪文が書かれたノートが、事細かに整理して保存されていた。
「……」
僕があっけにとられて言葉を失っていると、雫は追い打ちをかけるようにして言葉を繋げる。
「あっ、あと翔君。本の隠し場所は変えた方が良いと思うよ、流石にベッドの下は分かりやすすぎるから」
雫から出てきたその言葉に、僕は寒気すら覚えて身震いをする。
「お……お前どうしてそれを」
「未来でも同じところに隠してたからかな。どう、信じてくれた?」
信じる信じない依然に僕は目の前の美少女に対して、どこか恐怖心すら覚えて、何も言えずにコクリと首を縦に振る。
すると雫は僕のこの感情など知りもしないで、目を輝かせて大喜びする。
「良かったーこれで一安心だ!」
僕の心の声とは大きく違い、雫は肩の荷が下りたと言わんばかりの安心しきった声を出して、ニコニコしながらコーヒーの缶を開けた。
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