5日目後半

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 雫のその顔に釣られる様に、僕まで自然と笑顔を返してしまう。  そんな僕の顔を見て安心したのか、雫は大きく深呼吸をするとベンチから立ち上がって、僕達から離れる様に少しだけ歩いて振り返る。 「海ちゃん、いつまでもそんなのだったら翔君本当に奪っちゃうからね」 「だ、ダメよ!」  雫の言葉を聞くと、島田さんは主導権を主張する様に僕の腕にしがみついて、雫の方を見つめながら言葉を返す。  その様子を見て、雫は楽しそうに声を出して笑う。だけど直ぐに我に返ったように、真剣な顔になって誤魔化す事もせずに話始める。 「二人とも、本当にありがとうね」 「いや。こっちこそありがとう」 「ありがとう」  雫の感謝の言葉に僕も同じ言葉を返すと、いつの間にか落ち着きを取り戻していた島田さんも、僕に続ける様に声を出す。 「それじゃあ、そろそろ帰るね」  雫がそう言うと、その声に反応する様に彼女の周りが白く輝き始めて、不思議とそれが別れの合図だと分かる。 「おう、またな」 「ちゃんと帰ってきなさいよ」  僕達の言葉に雫はニコリと笑うと声だけを残して、その姿は光と共に一瞬でその場所から消えて無くなる。 「またね……」
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