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「ほらほら、あなたも挨拶しなきゃ」
「そ、そうだね、奈保子がいつもお世話になっています。夫の幸彦です。お茶受けに近所の店でカップケーキを買ってきたので、よければご一緒しませんか」
「あら、おいしそう。嬉しいわ、ねぇ、あなた」
「ホントだね。ありがとうございます」
僕の左隣に座る奈保子を見ると、本当に嬉しそうだ。この笑顔をずっと見ていたい。
「ところで由彦さんや陽子さんは、どうやってあまり部屋から出ない奈保子と知り合いに?」
そう、奈保子は痛みがひどく、あまり部屋から出たがらない。だからこそ、今日のようなことは、嬉しい驚きだった。
「理学療法士さんが夫のリハビリをここでやっていた時に、奈保子さんがレントゲンからの帰りに看護師さんに車椅子押されて通りかかったのよね」
「そうそう、その時、理学療法士さんが、あっ奈保子さんが部屋の外に出てる、チャンスだから次にリハビリするからここにいてって、一気にまくしたてられちゃって」
「あの理学療法士さんは個性的だからなぁ」
「うん、あの人といると元気になるような気がするんだよね」
へー、リハビリやってるのは知っていたけれど、どんな担当の人なんだろう。めちゃくちゃ気になる。
「あーーーー、超美味しそうじゃん」
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