カレー週間の始まり

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カレー週間の始まり

 私の祖母を三言で表すならこうだ(一言ではとても表せない)  「最強」  「最速」  「(おとこ)」  TV業界の大物である祖母はとにかく強く はやく そして(おとこ)だ  来週どこかのタイミングで来るという祖母のために我が家は準備を始めた  決して失敗は許されない  失敗などしたら本当に大変なことになる  私と父のこの1週間は全て祖母の来訪に向けての準備になった  「青葉 じゃあ来たる母さんに向けての準備を始めます 用意はいい?」  「はい! 大丈夫です!」  「では すたぁーと!」  私たちは氣合を入れて準備にとりかかった  この準備に全てが懸かっている!!  ま 準備と言ってもカレーを作るだけなのだが  祖母は父の作るカレーが大好きなのだ  今日は日曜日  私も手伝って 一緒にカレーを作る  「じゃあ 青葉はにんじんとじゃがいもよろしく 僕は玉ねぎするよぉ」  私たちはまずカレーのメイン野菜3つから取り掛かった    「母さんが喜ぶカレー作ろぉね」  父が涙をこぼしながら言った  「うん 今回も最高のカレーにしよう」  私も涙で答える  玉ねぎの魔力・・・ベタだ♪    玉ねぎの皮を全部剥くと父は玉ねぎを大きな鍋に敷き詰めていく 大鍋いっぱいに敷き詰めた玉ねぎに 父が育てているゲッケイ丸(ローリエ)を数枚とこれまた父がテラスで干している干し椎茸と コップ2杯の赤ワインと塩少々を入れて鍋に蓋をする  それを超弱火で1日以上加熱する これによって玉ねぎから沢山の水分が出て玉ねぎも飴色になる  これは父が好きだったカレー屋さんから学んだ手法らしい  料理上手の父の1番好きな料理はカレーで父のカレーはとにかく凝っている  今私が切っているにんじんとじゃがいもも2種類のスープで下味をつけてからカレーに入れる ルーを使わずスパイスから作るなど父には当たり前だ さらに言えば父は水も油も小麦粉も使わない 色々フリーなのが父のカレーだ  一通り下拵(したごしら)えが済んだところで私は友だちの楓に連絡した  「今日 半熟カレーだけど食べくる?」  「えー行く行く 彼氏もいい?」  「いいよ」  1日では完成しない父の1日目のカレーを私は半熟カレーと呼んでいる  明日の月曜から1週間後の日曜までいつ来るかわからない祖母がいつ来ても良いように私と父は今日からカレー週間に入る  カレー週間にはカレーの香りに誘われてからか うちには色々な人が うちにカレーを食べに来る  今回は楓と彼氏の大地さんが最初のお客さんだ  私と父の大忙しのカレー週間が始まった
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