暗闇の季節

1/4
前へ
/4ページ
次へ

暗闇の季節

学校は、四学期が始まろうとしていた。 「それでは、冬休みの宿題を集める」 そう言った先生の元へ、生徒達が宿題を提出していった。 「うん、みんなしっかりとやってきているね。出してない者もおるようだけど。そんな中で、ハルアキ君は今回の宿題を全部やってきている。偉いぞ」 「先生、そいつ、秋休みの宿題は全然やってません」 生徒の1人が突っ込んできた。 「おおそうだった。その件について話がある。あとで先生のところに来なさい」 放課後。 「それでどういう事なんだね。ハルアキ君」 それによると・・・。 春、夏、秋、冬の長期の休みになると、家の仕事の手伝いをやる事になっている。朝早くから夕方遅くまで。そして終わる頃には日が暮れている。住んでいる村には電気が通ってなく、明かり用の油を買う余裕もない。そのため、夜になるとすぐ、一家全員、就寝している。 それでも、夏休みは集めてきた蛍の光を頼りに夜に宿題をしていた。そして冬休みは窓の外に積もっている雪から出る光を利用して同じようにしていた。 しかし、春と秋にはそういった手段が存在しない。 「それで春休みと秋休みの宿題が全くできないということか。どうにかならないんかね」 「どうしようもありませ~ん」
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加