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ダニエルは「私も、同じ考えでして、森の中をくまなく探しましたところ
後、二ケ所、カカオの木が生えている場所を見つけました。
初めに見つけた所と、合わせて三カ所、今、そこをカカオの林にする為に
頑張って貰っています、これは、そこで採れた物です」と
大きな袋一杯の、カカオ豆を見せた。
「わぁ~沢山!!チョコレートは、ミリア様が、特に喜ばれているんです」
「そうですか、では、今回は、これを持って帰って下さい」
「ダニエルさんは?」「私も、炒って貰った物を食べています」
「そうですか、ダーナンは暑いから、チョコレートは、固まらないのよね~」
蕗が、残念そうに言うと「チョコレートとやらは、帰国した時に
頂く事にしますよ」と、ダニエルは笑った。
それでも蕗は、小鍋にチョコレートソースを作り
パンに掛けて、ダニエルに食べさせた。
「これは、美味しい!!」ダニエルは、大喜びをし
「これをミルクの中に入れれば、ココアになります」と、蕗は教えた。
「それも身体に良さそうですね、試してみます」
ダニエルは、早速、牛を飼っている農家に行って
ミルクを分けて貰え無いかと、頼んだ。
「蕗様~板海苔が出来ました~」青の国から来ている、留学生が
海苔を持って、やって来た。
「蕗様に、教えて貰った通りに、作ったのですが、どうでしょうか?」
「うん、完璧だわ、この薄さに海苔を並べるのは、大変だったでしょ」
「はい、初めは、どうしても分厚くなって、、、」
「よく頑張ったわね、これなら、美味しい海苔巻きが出来るわ」
「その海苔巻きって、一体どんな物ですか?」
「そうね~色々聞くより、見た方が速いから、今夜、作るわ」
蕗は、長の家に帰り、台所を借りて、ご飯を大量に炊き
酢を打って、すし飯を作った。
魚のすり身に、味を付け、細長い棒状にして、油で揚げる。
それが済むと、これも大量の卵焼きを焼いて、冷まして置く。
「蕗様、ミナを取って来ました」ミナと言うのは、セリの事だ。
「有難う」蕗は、そのセリを、色よく茹でた。
すり身と玉子焼きとセリ、蕗は、ダーナンで、手に入る材料で
海苔巻き擬きを作る。
酢飯が、無くなるまで巻きあげた蕗は、一本の海苔巻きを、八つに切った。
蕗様が、何か作ってくれるそうだと、聞いて来た、ダーナンの人も
留学生も、初めて見る海苔巻きに、目を丸くする。
「さぁ、二切れずつしか無いけど、食べてみて」蕗は、皆にそう言った。
まず、長が、皆を代表するような形で、口に入れ「旨いっ!!」と、言った。
その声に、皆も一斉に、海苔巻きを口に運び「旨い」「旨い」と
あっという間に食べてしまった。
「こんなに美味しいとは、苦労した甲斐が有りました」
板海苔作りを手伝った、ダーナンの人も、青の国の留学生と
手を取り合って、喜んだ。
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