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蕗は、早速ガノンに会って、ジュレームから許可が出た事を話し
ラグアへの道筋を聞いた。
「王様が、許可を出されたのですか?」
ガノンは信じられ無いと言う顔をしたが、それならと
第三ラグア号の船長を呼び、ラグア迄の航海に付いて、話し合った。
「カルルでも、一日では無理だと思います、ラグア迄の中間点に
梟の顔に似た、我々が梟島と呼んでいる、小さな島が有ります。
そこは、水も豊富で、果物も有ります。
休憩する場所は、ここが良いかと思います」
「そう?じゃ、そこで一泊して、ラグアへ向かうわ」
「本当に、行かれるのですか?」船長は、そう聞いた後
「では、我々の氏名を書いたノートを、お渡しします
うまく、ラグアに着きましたら、家族や知人に、無事だと知らせたいのです」
と、言った「それは良いわね、私がラグアへ行く最大の目的は
皆の無事を、貴方達の家族や知人に知らせる為ですからね」そう言う蕗に
「蕗様、、、」「そこまで、我々の事を」
ガノンと、船長は、それ以上の言葉が出なかった。
いくらカルルが一緒でも、困難な事に変わりは無い。
下手をすれば、命さえ危ういのに、、二人は、蕗の大きな愛情に涙ぐんだ。
ノートに、32人のガノン人は、自分の名前と
無事を知らせて欲しい、家族や友人の名前と住所を書いて、蕗に託けた。
名前の下に、自分の今の状況や、気にかけている、親や、子供の様子を聞く
短い文を書いた者も、多かった。
しっかり旅支度を整え、蕗は、カルルに乗って、ラグアへと旅立った。
「蕗様~~ご無事で~」「カルル~蕗様を頼むぞ~」
飛び立った、カルルと蕗に、ジュレームを始め、ガノンの人々は
祈るような思いで、去って行く、蕗とカルルに手を振った。
カルルは、陽が傾き始めた頃、梟島を見つけ、降り立った。
「カルル、ご苦労様」蕗は、ガノンが教えてくれた、水場へ向かい
カルルにも、たっぷり水を飲ませ、持って来た弁当で、食事をとった。
カルルも、自分の分の肉を食べた後、海に潜って、魚を5匹も獲って来た。
「あら、まだお腹が一杯にならなかったの?」蕗は、笑いながら
火を熾し、火の回りに、その魚を木の棒に差して並べ、焼いてやった。
カルルは、一匹だけ食べて、後は、明日と言う顔で
蕗が、採って来た葉っぱを敷き詰めた、寝床に横になった。
蕗は、そんなカルルに寄り掛かって、眠りについた。
陽が昇る直前に目覚めた蕗は、水場に行って、水浴びをし、さっぱりして
そこらに生っている、バナナとマンゴーの実を捥いで帰り
その果物とパンで、朝食をとった。
カルルには、昨日焼いた魚に、もう一度火を通して、果物と一緒に食べさせる
カルルは、魚と、大好物の、甘い果物を、喜んで食べた。
「さて、出発しましょう」蕗は、火の始末を念入りにし、カルルの背に乗った
美しい夕焼けを見ていた、一人のラグアの兵は
その中から、真っ赤なドラゴンが、ぐんぐん近付くのを見て、腰を抜かした。
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