貴族になった蕗

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本当に、似合っているのかしら、蕗だけが疑っていたが マーラは、その青い服の他に、赤と薄緑のドレスも買った。 次は、帽子屋だった、様々な形と色、羽飾りや、造花で飾られている 豪華な帽子、その帽子を、次々に被せられ「いかがでしょう?」と聞かれる しかし、どんな時に、どの帽子を被れば良いのか、全く分からない。 「マーラに任せるわ」と言う事で、帽子も、すべてマーラが選んだ。 次は、宝飾屋だと言い、髪飾りや耳飾り、胸飾りなどのアクセサリーが ずらりと並んでいた。 「わぁ~素敵ね~」今までの蕗の生涯で、最も縁が無かった物だ。 細かな細工が施された、金細工や銀細工、煌めく赤や青や緑の宝石。 中でも、特別豪華な物を「蕗様でしたら、これ位は、、」と、店主が勧める。 「では、それと対になっている、耳飾りと髪飾りも」マーラが注文する。 「有難う御座います、蕗様、これは青の国より手に入れました物 これも如何でしょうか?」そう言って見せたのは、真珠だった。 「まぁ、真珠ね、良い色だ事」「さすが蕗様、真珠をご存知でしたか」 店主は「滅多に手に入らない物、少々値段は張りますが 蕗様には、是非と、思いまして」と 大粒の真珠が一つ付いた、ネックレスを勧めた。 「では、それも頂くとして、これとこれとこれも」マーラは 大量に、アクセサリーを購入した。 「そんなに買うの?」蕗が驚くと 「はい、蕗様は、何もお持ちでは有りません、一から揃えませんと」 と言う、蕗は、また、お金が足りるのだろうかと心配だった。 後は、雑貨屋みたいな店で、扇だの、アクセサリー入れだの 手鏡だの、細々とした物を買い揃え、やっと買い物は終了した。 だが、レイモンドとカラジ、マーラは、まだだれかと話し込んでいた。 「あの人は?」蕗が、サイラに聞くと「家具屋のニシラさんですよ 蕗様のお部屋に入れる、家具の相談をしているのです」と言う。 そう言えば、自分の部屋と決めた所には、椅子が有っただけだが 作り付けの衣装箪笥や、ベットは有った、あれで良いのにと思う。 チャドが来て「蕗様、花番達が、ご挨拶に来ていますが」と告げる。 案内されて、裏庭に行くと、大きな体の歳取った男と まだ若い男が、帽子を取って立っていて、その後ろに、ずらっと 八人の男達が、並んでいた。 「蕗様、花番頭をしております、ロブで御座います」と、大きな男が言い 「孫のトルヤと申します」と、若い男が言った。 後ろの八人も、それぞれ名前を言ったが、蕗は、ロブとトルヤしか 覚えられなかった。 「こんなに広い花畑の、お世話は、大変でしょう。 薬の為とは言え、本当に有りがたい事と、感謝しております」 自分達の仕事の大変さを思い、感謝してくれるなんて、蕗の言葉に 皆は、驚いたり喜んだりした。 「蕗様、早速、花を摘んで来ました」そう言って ロブは、大きな布袋を三つ、蕗の前に置いた。
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