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そう思っている蕗に、侍女達は、耳飾りと、この国では言っている
イヤリングを付け、首飾りとか胸飾りと言われる、ネックレスも付ける。
どちらも細かな金細工の、見事なもので、蝋燭の光にもキラキラと輝く。
「髪飾りも、同じ物で良いでしょうか?」イスラがそう聞き
「良いでしょう」と、マーラが答え、ピンクのワンピースみたいな物の上に
それより少し濃いめの、ピンクの袖の無い、上着を着せる。
「出来ました」と、全身が映る鏡の、布を上げると、まさに王女の様な姿の
若い娘が居た『馬子にも衣裳って言うけど、意外に、似合ってるじゃない』
蕗がそう思っていると「いかがでしょう?」と、またマーラが聞く。
「とっても素敵よ、有難う」蕗がそう言うと、マーラも、三人の侍女も
ほっとした様な、嬉しそうな顔になった。
まだ、借り物の身体みたいな感じだが、足も腰も痛まないのは、有り難い。
そのまま、昼食を食べた部屋に連れて行かれ、夕食となった。
食卓の上には、花が可愛く盛られた籠や、真っ白なお皿や
銀色に輝くナイフや、フォーク、スプーンなどが並べられていた。
すでに、カラジやチャド、レイモンドやラフル、マディー、ロブは
椅子に座っていたが、蕗が入って来ると、一斉に立ち上がり
蕗が座るのを待った。
シエルが、恭しく、蕗の椅子を引き、蕗を座らせると
付いて来た、マーラも、皆も座る。
デルフと三人の助手が、スープを運んで来た、三人は、直ぐ下がったが
デルフは、そのまま自分の席に座った。
「では、頂きましょう」レイモンドの声に、皆は、食事を始めた。
デルフは、食べずに、皆の様子を見ている。
「美味しいわね~このスープ」真っ先に蕗がそう言って
皆も、大きく頷いたので、デルフは、ほっとした顔で、自分もスープを飲んだ
三人の助手が、次々と、運んでくる料理に、デルフが説明をしたが
ローストビーフも、子羊の香草焼きも、ほくほくのじゃが芋に
チーズが蕩ける物も、何と言う料理だったか、名前は忘れる程
どれも美味しかった、みんな美味しく食べられたのも
真っ白で虫歯ひとつ無い、この歯のお陰だわと
蕗は、若くなった事に、感謝した。
食事が、一通り終わり、デザートになった。
「さて、明日の予定ですが」レイモンドが、話の口火を切る。
「私と、マーラは、蕗様のお部屋の模様替えをしたいと思っています」
「私と、マディーは、花を擂りにかかります」と、ラフルが言う。
デルフは「蕗様は、お魚が、お好きだそうなので、青の国まで行って
新鮮な魚を仕入れたいと、思っています」と、言い
「それなら、俺、、私が、連れて行きます」と、チャドが言った。
ロブは「蕗様、先日の戦いで、潰された畑に、株分けした苗を植えたのですが
いまいち育ちが良く有りません、見て頂きたいのですが」と言う。
「それなら、私が、お供をして行きます」カラジがそう言った。
「よし、明日の予定は、決まったな、皆さん、変更が有れば
私まで、お伝え下さい」レイモンドはそう言った。
「じゃ、私は、朝一番に、花畑を見に行って、その後は
リフの花を擂る所を、見に行きます」蕗も、自分の予定を告げた。
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