仕事に励む蕗

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蕗は、優しくその頭を撫で「私も、骨折した事が有るから、この痛みは 良く知ってるわ、痛みに耐えて、よく頑張ったわね」と、言った。 蕗は、77歳のつもりだったが、見た目は17,8歳なので その兵士は、驚きで泣き止んで、顔を真っ赤にしたが 「有難う御座います、お陰様で、妹の結婚式に出席できます」と、言った。 その兵士には、両親が無く、たった一人の妹が結婚する事になっていたが この足ではと、諦めていたそうだ。 「良かったな、親代わりのお前に、晴れ姿を見せたかったと 嘆いていた妹も、きっと大喜びだぞ」仲間の兵士が、そう言った。 それを聞いた蕗も、本当に良かったと、笑顔になる。 「蕗様、有難う御座いました」兵士達、全員に見送られ、蕗は屋敷へ帰る 「良かったわ、私達が作った薬、よく効いてくれて」 蕗がそう言うと「蕗様、私達の助手を、増やしたいのですが」と ラフルが言う「構わないけど、どうして?」 「今日の、この事は、直ぐに国中に、いえ世界中に知れ渡ります。 薬を求めて来る人が、大勢押しかけて来る筈です」 「それに、少しでも多く応えるためには、私たち二人では、間に合いません」 「分かりました、直ぐに手配して下さい」「はいっ」と言う事で 蕗を、屋敷に降ろすと、丁度帰って来たチャドの馬車に乗って ラフルとマディーは、出掛けて行った。 チャドの馬車から降りた、デルフは「蕗様、良い魚が手に入りましたよ」と にこにこしながら、籠の中を見せる。 中には、さっきまで海で泳いでいたのではないかと、思う様な 活きの良い、鯛みたいな魚が、有った。 「わぁ~お刺身にしたら、美味しそう!!」蕗は、そう言った後 「あ~~ここには、お醤油が無かったんだ」と、がっくりした。 「おしょうゆとは?」「私が居た、前の世界に有る、調味料なの」 「前の世界でしたら、ダニエル教授に聞けば、作り方は、分かるのでは?」 「駄目なの、その調味料は、日本と言う国にしか無い物だから」 「そうですか、残念ですね~」蕗が、望む調味料が無い事に デフルは、悲しそうな顔になった。 「あ、でも私、塩焼きも大好きなの、皮の焦げ目の所が 堪らなく美味しいのよね」蕗は、慰める様にそう言った。 「では、一品は、塩焼きと言う事で」 デフルも、気を取り直して、厨房へ向かった。 この国の料理は、どれも美味しいけど、もう少し出汁を効かせて欲しい それと、蕗が一番好きな米と醤油が無い、贅沢は言えないけど、、 やっぱり、炊き立てご飯の玉子かけ、、思っただけで、唾が湧く。 そんな蕗を、マーラと侍女が待っていて、部屋へ連れて行くと、着替えさせた マーラが「お薬の出来は、いかがでした?」と、心配そうに聞く。 「上々だったわ、私の方が、吃驚しちゃった」と 治してやった、兵士達の話をすると マーラは「まぁ、よう御座いましたね~」と、自分の事の様に喜ぶ。 しかし「火傷や、骨折、闇の魔法まで治したと聞いたら、、」と 侍女たちは、顔を見合わせる。 「大変!!直ぐ、誰かをロブ親方の所へ行かせて、出来るだけ沢山 リフの花を摘むようにと、伝えて来て」マーラが、叫ぶ。 「はいっ、レイモンド様~」サイラが、レイモンドを呼びに走る。
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