仕事に励む蕗

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話を聞いたレイモンドは、直ぐにシェルを、ロブの所へ走らせ 昼食を取っている、カラジの所へ行くと 「カラジ様、人手を増やす、相談を」と、話しかけた。 「帰りの馬車で、薬の出来の話は聞いたよ、ラフルとマディーは もう、自分達の助手を探しに行った、ロブ親方も自分で探すだろう 後は、このお屋敷に押しかける人を捌ける、頑丈な体を持った者だな」 「そうですね、そちらは、私の知っている者に、声を掛けます。 それと、蕗様の周りにも警護の者を」そう言っていると 「レイモンド様、蕗様の護衛にと、二人の兵士が来ておりますが」と ウェルが、言った。 「何と、手回しの良い」レイモンドが、その二人の所へ行き、話を聞く。 そこへ、お疲れでしょうと、自分の部屋で、昼食を取った蕗も、やって来た。 「あら、貴方達」「はいっ、先ほど、お助け頂いた、ディグです」と 目を治してやった兵士が、恭しく頭を下げて言う。 「先ほどは、誠に有難う御座いました、ビルドで御座います」と 声を取り戻してやった、兵士が言う。 「我々は、将軍閣下のご命令により、只今から 蕗様の警護に当たらせて頂きます」「何と、将軍様が」 レイモンドをはじめ、そこに居たカラジも、侍従も侍女も、驚く。 だが、将軍を知らない蕗は「そうなの、宜しくね」と にっこり笑って言った。 レイモンドは「ウェル、東の三番室を、この、お二人の部屋にする。 案内してくれ」と命じた「はいっ、どうぞ、こちらです」 ウェルに案内されて、二人は、それぞれの荷物を持って、付いて行く。 マーラも、二人の世話をしてやる様にと、キャラに命じ デルフに、夕食は、二人分増やす様にと伝えた。 屋敷の使用人が、全員、あたふたとしている中、蕗だけは、呑気に 薬剤室に行って、回復薬を入れる小瓶を、消毒していた。 カラジが、レイモンドに頼まれて、屈強な男を三人、連れて帰った時には すでに、屋敷の前には、黒山の人だかりが出来ていた。 それを見た三人は、馬車から飛び降り「ここまで入っては、ならん!!」 「さぁ、お屋敷の外まで出てくれ」と、人々を、外門まで、押しやり そこで、仁王の様に立つと、鋭い眼光で、皆を睨みつける。 「お願いです、どうか、お薬を」「母が、、」「子供が、、」 皆は、そこから、去る事無く、大きな声で叫ぶ。 「何事なの?」蕗がその声を聞いて、マーラに聞く。 「お薬の噂を聞いて、回復薬を貰おうと、押しかけて来た人々です 困った事ですが、三年も回復薬が、無かったのですから 無理も無いのですが」と、言う。 それを聞いた蕗は、マーラや、侍従たちが止めるのを振り切って 屋敷を出て、皆の前に行った。 「わぁ~っ」「蕗様だ」「蕗様、お薬を、、」皆は、口々に叫び 蕗の元へ行こうとしたが、三人の男に、阻まれる。 「皆さん、聞いて下さい」蕗が、大きな声を出すと、皆は、静かになった。 「今日の薬は、私が初めて作った、効き目が分からない物でした。 ですから、少ししか作らなかったのです、これから、大急ぎで 皆さんのお手元に届く様に、作ります、今しばらく、お待ち下さい」 蕗の言葉の後、カラジが「みんな、気持ちは分かるが、三年も待ったのだ 後、数日位、待てるだろう、蕗様を信じて、待っていてくれ」と言った。 一人の老人が「蕗様は、まだこちらに来られて、ほんの二日しか 経っていないのだ、我々の分までと言うのは、酷すぎる。 皆、もう少しの辛抱だ、待とうじゃないか」と、言ってくれ、騒ぎは静まった
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