赤の国と青の国

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蕗を屋敷に降ろしたカラジは「王宮に行って、今日の報告をして来ます」と そのまま王宮に向かい「蕗様、お帰りなさいませ」と、出迎えた屋敷の者達に「変わりはなかった?」と、聞き、何も無かったと知ると そのまま薬剤室へ行き、今日絞った分の液に、魔法を掛け、薬を作った。 全ての液に、魔法を掛け終わると「さすがに疲れたわ、ちょっと休憩しよう」 そう言って、部屋の外に出ると、マーラが待っていて 「お食事の用意が出来ております」と、言う。 「まぁ、もうそんな時間?ラフル、マディー、食事にしましょう」 二人にも声を掛け、食堂へ行くと、もう他の皆は、席に付いていた。 「赤の国の食事も美味しかったけど、やっぱりデルフの作った物が、最高ね」 蕗は、そう言いながら、次々と口に頬ばる。 そんな蕗に、デルフは、嬉しさを隠しきれない。 食事の後の、お茶の時に、皆に、赤の国での出来事を話してやる。 そして、作って貰った銀の如雨露と箸を見せた。 レイモンドとマーラが「それは、何をするものですか?」と箸を見て言う。 「元の私の国では、これで食事をしていたの」「これで?」 カラジ達、護衛の者は、赤の国で見て知っていたが 他の皆は、怪訝な顔をする。 「こうやるの」蕗は、ケーキの上のナッツを、挟んで見せた。 マーラが、真似をしようとしたが、片手で二本の箸は、操れなかった。 レイモンドも、挑戦したが、やっぱり駄目だった。 カラジは、蕗をよく見ていたので、なんとか箸は持つ事は出来たが ナッツは、つるりと滑って、落ちてしまった。 「これは、長い時間を掛けた、熟練の者しか、操れませんな」 レイモンドはそう言ったが、蕗が、5歳位から使えると言ったので 「まさか」と、目を剥いて驚き、皆も、本当だろうかと疑った。 翌日の予定を、皆が言っていると「私は、青の国に出掛けます」 蕗がそう言った「蕗様、いくら何でも、一日位、お休みになられては」 レイモンドがそう言い、皆も頷く。 「私なら、大丈夫よ、一刻も早く、青の国にも行ってやらなくっちゃ 海で、怪我をした人が居るって言ってたし、きっと待ってるわ」 「それでしたら、馬車を、もう一台購入したいのですが 二台の馬車で行かれるので、赤の国に薬を送るのに、必要なんです」 レイモンドがそう言う「良いわ、御者は?」「良い御者が見つかるまで 取りあえずエブルが、御者を務めます」「そう、じゃ、そうして下さい」 翌日も良い天気だった、蕗達一行は、青の国へ行くために、港へ行った。
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