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屋敷に帰ると、レイモンドをはじめ、出迎えた使用人達は、全員、目を瞠り
「勲章を頂いたのですか?」「しかも、緑の」と、驚き
その後は、大喜びとなった。
勲章の中でも、緑の勲章は、最高の勲章だと言う事だった。
その夜は、お祝いと言う事で、デルフが腕をふるい、次々とご馳走が出され
蕗は、その美味しさを堪能した。
翌日からは、午前中は薬を作り、暇になる午後からは、緑の国を見て回る。
王都は、さすがに賑やかで、大勢の人や物が溢れていて
赤の国や青の国に比べると、お洒落な感じがした。
だが、王都を出ると、どこまでも続く、様々な物が育っている畑が広がり
人の姿は、まばらだった。
更に、その先に行くと、青々とした草原が、山の中腹迄有って
牛や馬、羊などが放牧されている。
「わぁ~のどかね~」のんびり草を食べている、牛や馬を見て
蕗はそう言った。
「蕗様、搾りたてのミルクです、良かったらどうぞ」
麦わら帽子を被った、若い男が、草刈りの手を休め、ミルクを持って来た。
丁度、喉が渇いていた蕗は、ごくごく飲み
「あ~美味しい!!」と、言った、男は、にこにこして
また、草を刈り始めた。
肩ひもの付いた長くて大きな鎌で、身体を左右に振りながら、草を刈る。
たちまち青草の匂いが、辺りに充満するが、直ぐに風が流してしまう。
広い緑の美しい景色は、見ていて飽きない。
帰ろうとしていると、さっきの男が、ハムやチーズを呉れた。
その男の、手の甲に切り傷が有るのを見た蕗は、男の手を取った。
「これ位の傷は、、」と、蕗に手を取られ、顔を赤くした男に
「小さな傷でも、黴菌が入ったら大変よ」と、蕗は、治してやった。
「有難う御座います、また、来て下さい」男は、帽子を大きく降って
蕗の馬車を見送った。
馬車の中で「あそこは、平和そのものね~」と、蕗が言うと
ビルドが「あそこも、先日は、闇の魔導士に襲われて、牛や羊を
持って行かれたんです」と、言う。
「ええっ、そうだったの?牛や羊って、魔導士の食糧にするのかしら」
それも有るでしょうが、多分、ドラゴンの餌にするんでしょう」ディグが言う
「ドラゴンって、どんな姿をしているの?」蕗が聞くと
「体は、どの動物にも似ていなくて、大きな翼を持っています」と
ビルドが言い「ドラゴンの事を、良く知っているのは、ダニエル教授です。
行ってみますか?」と、カラジが言う。
「そうね、一度会いたかったの」と、言う事で
蕗はダニエルが居るという、学校へ行った。
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