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その二日後「蕗様、赤の国より、酷い火傷をしたと言う者を
連れてきておりますが」と、薬剤室に居る蕗に、報告が有る。
「直ぐ行くわ」蕗は、回復薬と銀の如雨露を持って
「何処?」と、聞きながら走る。
「テラスで御座います」ウェルの言葉に、テラスに出て行くと
二人の男に、抱えられてテラスの椅子に座らされた男の、左足は
膝上から足首まで、焼けただれていた。
蕗は、まず回復薬を飲ませてから、一番濃い回復薬を如雨露に入れ
その足を洗う様に、万遍なく掛けながら『治れ、治れ』と、念じた。
痛みで呻いていた男の声が止み、回復薬を掛け続けている火傷は
少しずつ綺麗になり、やがて、跡形も無く治った。
「お見事です」初めて蕗が治療する所を見た、レイモンド達は
目を丸くして、なぜ銀の如雨露が必要なのかも知った。
火傷をした男も、連れて来た男達も「有難う御座います」と
何度も、何度も、蕗にお礼を言って、帰って行った。
翌々日、赤の国王マンセルから、丁寧な礼状が届いた。
礼状と一緒に、火傷した男が作ったと言う
リフの花のガラス細工も入っていた、透き通る水色のリフの花は
灯りに、キラキラと光る「素敵ね~」蕗は、ベットの横に飾った。
翌日「蕗様、お茶が出来ました、見て頂けますか?」と、デルフが呼びに来た
「もう出来たの?」蕗は厨房へ行って、テーブルに置かれている
花模様の綺麗な缶を覗き「まぁ~凄いじゃない!!」と、デルフを振り返った
そこには、蕗が作った物より、はるかに細く
しっかり丸まっている茶葉が有った。
「やっぱり、その腕で揉んだからだよね~」蕗は、隆々としている
デルフの腕を見て言う。
デルフは笑いながら「でも、力を入れ過ぎても駄目でした、強く優しく
葉っぱを宥める様にと、なかなか、奥の深い作業でございました」
「有難う、早速頂ましょう」蕗は、ティーポットに茶葉を入れ
少し冷ましたお湯を入れた「わぁ~良い色だわ」
蕗は、デルフと三人の助手の分の、カップも出し、注ぎ分けようとしていると
この前、味見し損ねた、レイモンドが来て「是非私にも」と言う。
カップを、もう一つ増やし、五人と一緒に飲んだ蕗は
「あ~これよこれ、これが本当のお茶よ」と、大満足で、そう言った。
初めて飲んだレイモンドは「これは、、何でしょう、何とも心安らぐ味と香り
素晴らしいですね~」と、感動している。
蕗は、デルフから小さな缶を二つ貰って、その中に出来た茶葉を入れ
一つは、ダニエルの所へ持って行き、お茶の淹れ方を教えた。
ダニエルも、大いに感動し「素晴らしい!!」と、手放しで褒め
また、摘みたてのお茶の葉を、一袋呉れた。
もう一つは、ジュレームに持って行った。
「蕗様、ジュレーム様が、お会いしたいそうで御座います」
そう言われて、執務室に案内された。
ジュレームの顔色は、この前より、各段に良くなっていた。
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