ドラゴンの卵

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いよいよ、お腹の大きさを隠しきれなくなってから、出産後まで どんな名目で、ジュレームを国民の目から、遠ざけるかという物だった。 「そうですね~」蕗は考えた末「先年、骨折した所の具合が悪くなった。 様子を見ていたが、一向に良くならないので、蕗の治療を受ける と、言う事にしては、いかがでしょう」「おお、それは良い」 「蕗様の、治療と言う事であれば、二、三カ月、顔を見せなくても 国民も心配はしないでしょう」ジュレームと、シゼルは、そう言った。 蕗は、ジュレームのお腹に手をかざし「陛下、お子様は二人ですね」と、言う 「ええっ、双子?」「はい」「そうですか、私の家系には双子が多いんです 私と兄もそうでした」ジュレームは、お腹を撫でながら、そう言った。 「双子となれば、お腹の大きさも、、」シゼルがそう言う。 「目立つようになったら、足が痛むと言って、車を付けた椅子に座って シゼル様に押して貰い、お腹が見えない様に、ケットで隠して下さい」 「それは、良い考えですね、その後、どうしても駄目だから 蕗様の治療を受けると言えば、自然な流れになります」 シゼルも、そう言い「早速、椅子に車を付けた物を、作らせます」と言った。 これで、何とか乗り切れそうだ、蕗は、宮殿から下がると 屋敷に戻り、普段着に着替えて、カラジをお供に、まだ行った事の無い 花畑の向こうの、林に出掛ける事にした。 カラジは、馬を引き出し、蕗を前に乗せ、蕗の後ろから手綱を持って ゆっくりと馬を歩かせる。 「わぁ~馬の背中って、随分高いのね」蕗は、周りの景色を見ながら言う。 馬は、初めてなのに、なかなか上手に乗っていると、カラジが褒める。 林の入り口に、馬を繋ぎ、二人は、林の中へ入って行った。 カラジは、茸が無いかと下ばかり見て歩き、蕗は、木の実が無いかと 上ばかり見て歩く。 「わぁ~こんなに沢山、旨茸が有る」一番美味しいと言われる 旨茸を見つけたカラジは、夢中で、それを採って行く。 その間に、蕗は、自分の顔の傍に有る、細い枝が絡み合っている所に 何やら白い物を見つけ、何だろうと、傍に寄ってみた。 「卵だわ」それは、ダチョウの卵の三倍以上も有る、巨大な卵だった。 「こんな大きな卵を産む鳥が居るの?」と、見ていると 卵の中から、コツコツと言う音がして、ひびが入り、殻がポロッと剥がれた 「あ、生まれる」そう思った時、もっと大きく殻が剝がれ 中から、真っ赤な顔に、金色の目をした、トカゲみたいな生き物が 顔を出し、蕗を見て「カ、、カ、ル」と、鳴いた。 「まぁ、真っ赤ね~変わった鳥?なの?」蕗がそう言うと よちよちと、殻から出て来た鳥?は、蕗の差し出している手に、頭を擦り付け 「カ、カル、カ、カル」と、嬉しそうに鳴いた。 「まぁ、可愛い」蕗は、その頭を撫で、羽が有るから鳥なんだろうけど 体は、鳥にしては、ごついわね~と、体も羽も、真っ赤な鳥?を抱いた。 「お母さんは?」と、辺りを見回したが、その子の親らしき鳥は居ない。 その時「蕗様、ここでしたか」と、カラジがやって来て 蕗が抱いている、真っ赤な物を見ると、顔色を変え 「ふ、蕗様、、それは、ドラゴン、、」と、ガタガタ震えながら言った。 「え?この子、ドラゴンの子供なの?」カラジは、ドラゴンが来るのではと 空を見上げて、きょろきょろ探したが、ドラゴンらしき姿は無かった。 「な、何でこんな所に、、」「ここに卵が有って、それが孵化したの」
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