58人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
そのうち空を飛びようになったら、もう、隠しては置けない。
「蕗様は、どうなさる気かな」チャドがそう言うと
「シゼル様が、良い方法を考えて下さるとは、言っていたが」
カラジは、そう答えたが、やはり心配だった。
翌日は、ダニエルの訪問が有った、カルルの様子を見に来たと言う。
「今日も、思いがけないお客さんだね」侍従と侍女たちは、ひそひそと話す。
蕗は、ダニエルにカルルの様子を話してやった。
「う~む、私が思っている以上に、ドラゴンは知能が高い様ですな~」
ダニエルは、カルルが、ボール遊びをするとか、蕗の言う事は
何となく分かっている様だと聞き
嬉々として、玩具で遊んでいるカルルを見て、そう言った。
ダニエルは、お茶の葉をすり潰し、ふるいに掛けた粉を混ぜて作った
プリンに「これはまた、爽やかで美味しいですな~」と、目を細めた。
「これは、陛下も、お喜びになられて」「分かります、分かります」
貴重な茶葉を、何とか有効に使いたいと、蕗がデルフに頼んで
作って貰った物で、他にも、抹茶カステラ風に作って貰ったケーキも
ジュレームは、喜んだ。
厨房で「電気も無いのに、冷蔵庫が有る」と、驚いた蕗に
デルフは、北の山に有る洞窟の、奥深くに氷が有り
その氷を割って来る、氷屋がいて、毎日運んで来て貰うと言う。
その氷を分厚い木箱に入れて、魚などが傷まない様にしているのだと
見せてくれた。
そのデルフに、リフの花びらを乾燥させ、粉にした物を混ぜた
キャンディも作って貰った。
侍女たちが、綺麗な紙で、それを包み、可愛いキャンディが沢山出来た。
「蕗様、このキャンディどうなさるので?」マーラが、不思議そうに聞く。
「小さい子供が、回復薬を、なかなか飲んでくれないの、キャンディなら
喜んで、食べてくれると思って」「それは良い考えですね~」
「でも、病気じゃ無い子供も、欲しがるのでは?」
「大丈夫、そんな子供には、なにも入れていないキャンディをあげるのよ」
「なるほど~」蕗の考えは、上手く行き、子供達に回復薬を飲ませる手間が
無くなったと、母親達から、喜びの声が上がった。
噂を聞いた、赤の国や青の国からも、キャンディの注文が有り
デルフと助手三人は、大忙しになり、薬師の助手の力も借りる程だった。
蕗は、更に効き目の強い、種の粉を混ぜた、キャンディ作りをデルフに頼む。
「今度は、少々持ち歩いても、べたべた溶けないキャンディにして欲しいの」
「分かりました」デルフは、蕗の注文通りのキャンディを作り
「これは、何に使うのですか?」と聞く。
「兵士達が、戦いに出る時に持たせるのよ、瓶の回復薬だと、割れるけど
これなら、ポケットか、ポーチに入れて置けば、割れる心配も無いし
怪我をしたら、直ぐに口に入れられて、良いでしょ」「なるほど」
蕗は、それを持って兵舎に行き、将軍ハルドに渡した。
「なんと!!回復薬のキャンディですか?回復薬は、瓶に入っている物
と言う、観念しか無かったです、さすが蕗様、我々とは
考える事が違いますね」と、手放しで喜び
「我々の事まで、考えて下さるとは、誠に有り難い事で御座います」と
深く感謝した。
最初のコメントを投稿しよう!