58人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
蕗の屋敷の隣に、蕗がジュレームに頼んで建てて貰った、病院が出来上がった
その病院には、ラフルとマディーが常時いて、患者の治療に当たり
二人の手に負えない患者が来ると、蕗が呼ばれる。
リフの花も終わり、回復薬の作り置きも、山ほどできた。
後は、種の収獲だけになり、蕗も暇が出来て、カルルと遊べる。
遊んでいる二人の所へ、ジョアンが時々やって来て、子供同士、仲良く遊ぶ。
カルルは、ぐんぐん大きくなり、もう、ジョアンを背中に乗せて
走れるようになった。
「屋敷内で遊ばせるのは、限界ですね~」と、言う事で、屋敷から一番近い
東の林の中で、遊ばせる事にした。
林迄の道には、木で作った足場の様な物が組まれ、そこを麦わらで覆い
カルルが歩く姿が、見えないようにした。
林の中も、周りは木で鬱蒼として、中は見えないが、中央は
実のなる木以外は、間引き、広い芝生や、草むら、丸太を使った遊び道具が
設置された「ロブ、カラジ、チャド、ご苦労様でした」
「いいえ、子供の頃の遊びで、よくこんな物を作っていましたから」
三人は、疲れも見せず、そう言った。
林迄の道を、ジョアンを背中に乗せたカルルは、のっしのっしと歩き
林の中で走り回ったり、木の実を探したり、カルルが喜ぶ
美味しい草を探したり、ジョアンは、蕗の「おやつですよ~」と言う
声がするまで、遊ぶ、カルルとジョアンは、力一杯遊ぶので
おやつの後は、いつも眠気に襲われ、ジョアンは、シゼルに抱かれて帰る
カルルも、もう、一人で眠れる様になったが、目が覚めると
一番に蕗の姿を探す「カルル~カルル~」「ここよ、カルル」
その声がする所へ行き、蕗の胸に頭を付け、頭を撫でて貰う。
「よしよし、こんなに大きくなったのに、まだまだ甘えん坊だね~」
蕗は、愛しそうにカルルの頭を撫でながら言う。
そんな所に、またダニエルが来て「随分成長しましたね~」と
カルルの姿を見て「白の国の、ドラゴンにも、子供が産まれています」と
蕗に教えた「この子の、兄弟って事ですね」「そう言う事になりますね」
そう言った途端、カンカンカンと、大きな鐘の音が、鳴り響いた。
「蕗様、闇の魔導士ですっ」屋敷内に、緊張が走る。
ディグとビルド、カラジとチャドが、蕗を守るために走って来た。
蕗は、屋敷のテラスから、空を見る、真っ黒で大きなドラゴンが
背中に、グラディスだと思える男を乗せて、西の方へ行った。
「あの方角は、、」「きっと、牛や羊を捕まえに行ったんだ」
カラジが、そう言った通り、暫くすると、ドラゴンが両手両足で
羊を四頭、掴んだまま、北の空へ消えた。
「くっそ~またやられたか」「こんなに短時間なら、兵士達も
間に合わなかっただろうな」ディグが、力の無い声で言った。
最初のコメントを投稿しよう!