ドラゴンの卵

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全ての処置が終わり、皆は、ジュレームと子供を置いて 部屋の外に出る、そこには、シゼルが、おろおろと、歩きまわっていた。 誰よりも強く凛々しい、近衛隊隊長と言う、シゼルの姿とは、全く違っていた 「シゼル、無事に生まれましたよ」前王妃が、優しく声を掛ける。 「シゼル様、可愛い王子様と王女様を、見て下さい」蕗は、そう声を掛けた。 その声を待っていた様に「では」と、産室に入って行ったシゼルは ジュレームの傍に行き「メリナ、頑張ったね」と、手を取って労わった。 「シゼル、見て、とっても可愛いわ」「どれどれ、わぁ~小さいなぁ~」 シゼルは、交代に抱きあげ「女の子は、君にそっくりだね」と言った。 「ええ、男の子は、貴方にそっくりよ」こんな時位しか許されない 二人っきりの時間、ジュレームが、メリナになれる時。 「二人分頑張ったから、疲れたでしょ、ゆっくり休むんだよ」 シゼルは、ジュレームの額にキスを送って、部屋を出た。 【ミリア様、第二王子様と、第一王女様、無事ご出産!!】と言う 嬉しい号外が、街中を駆け巡る。 国民全員が、大喜びする中、同時に、足の調子が思わしくなかった陛下が 蕗の手術を受けた、回復までには、一カ月ほど、かかるだろうと言う 心配な事も、付け加えられていた。 しかし「蕗様が、ついておられるのだ、何も案ずる事は無い」と言う 老人の言葉に「そうだ、そうだ、蕗様なら、きっと元通りにして下さる」 みんな、口々にそう言って「今は、お子様の誕生をお祝いしよう」 と、言う事で、あちこちの地区で、お祝いの行事が続いた。 それでも心配な人は、病院まで来て、蕗に国王の様子を聞きたがり 「心配要りません、手術は無事終りました、後は、日にちさえ経てば 今迄通り、お元気になられますよ」蕗の、その言葉を聞き、やっと安堵する 「ジュレーム様は、こんなに国民に愛されているのね~」 女と言う身を隠して、奮闘したメリナの努力の賜物だと、蕗は思った。 ジョアンは、双子と対面し、目を丸くしていた。 「ジョアン、貴方は、この子達の、お兄ちゃまになったのよ」 産後を装って、寝ているミリアにそう言われ「お兄ちゃま、、」 ジョアンは、食い入るように二人を見て、そっと小さな手を握った。 「ちっちゃいね~」ミリアの隣のベットで こちらは、足の手術後と言う事で、寝ているジュレームが 「ジョアン、お兄ちゃまなんだから、この二人を守ってやるんだよ」 と言った「うんっ」ジョアンは、赤ん坊から、目を離さずに返事をした。 そして「シゼル、僕、お兄ちゃまになったから、お馬のお稽古をする」 と、言い出した、4歳の誕生日を迎え、そろそろ乗馬の稽古をと シゼルに言われていたのだ。 「早速、用意をしましょう」シゼルは喜んで、馬番頭を呼び 大人しくて小さな馬を選ばせ、ジョアンに乗馬の稽古をさせた。
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