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一方、青の国では「た、隊長っ、ドラゴンがっ」見張りの兵士が
青い顔で報告しに来た「ドラゴンだって?警報は鳴らなかったではないか」
「はい、でも赤いドラゴンが、、」
「赤い?それなら、蕗様のドラゴンかもしれぬ」その隊長に
また報告が有る「隊長っ、ドラゴンの背中に、蕗様が乗っておられます」
「やはりそうか、騒ぐ事は無い、みんな落ち着け」「はいっ」
そう言っている間に、カルルは、集会所が有る、近くの浜辺へ降り立った。
「うわぁ~」「で、でっかい!!」近くにいた人は
カルルの事は、聞いていたが
実際に目にする、その大きさに、遠巻きにして見ている。
「カルル、お仕事が終わるまで、大人しく遊んでいてね」蕗がそう言うと
カルルは「カルル~」と、返事をし、初めて見る海に、興味津々で
打ち寄せる波の傍まで行って、海水をペロッと舐めたりしていた。
そこへ、いつか蕗が骨折を治してやった、漁師の息子ガレアがやって来て
恐る恐る、カルルの傍に行く、カルルは、ジョアンと同じ位の子供を見て
遊ぼう!!と言う風に、尻尾を振った。
その気持ちが伝わったのか、ガレアは、尻尾をよじ登り、カルルの背中に乗る
ガレアを乗せたカルルは、沖の方まで行き、海面すれすれを飛んで
ガレアを喜ばせた、ガレアが、興奮で赤く染まった頬をして、浜辺へ帰ると
見ていた子供達が、我先にと、カルルの尻尾によじ登る。
カルルは、三人ずつ乗せて、同じ様に海面すれすれを飛び
子供達は、大きな歓声を上げる。
そこへ、蕗とカルルが来たと言う、報告を受けた、国王ルシアンが
自分の目でドラゴンを見たいと、馬を飛ばしてやって来た。
ルシアンは、子供たちと遊んでいるカルルを見て
「う~む、さすが蕗様が育てたドラゴンだ」と、唸った。
それから、集会所へ行き「蕗様、いつも有難う御座います」と、お礼を言う
「ルシアン様、いきなり空から来てしまって、申し訳有りません。
何しろ、一番早く来れるものですから」蕗は、せっせと手当てをしながら言う
「それは、構いませぬが、蕗様が、ドラゴンに乗るとは
想像も出来ませんでした」ルシアンの言葉に
「女性としては、はしたないとも思ったのですが
カルルは、何もしない、安心して欲しいと言う、思いも有りましたので」
「その心配は、無用になりました、カルルが子供達と遊んでいる姿を見て
皆も、安心しております」「それは良かったです」
全ての手当てを終えた蕗は、ルシアンと共に、浜辺へ出てみた。
子供達と、散々砂遊びをして、体が砂だらけになったカルルは
海へと飛び、途中で、そのまま海の中へ、ざぶんっと飛び込んだ。
「あっ」蕗は、驚きの声を上げた、カルルが、泳げるとは、思っていなかった
だが、カルルは、すいすいと泳ぎ、海の中へ、潜って行く。
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