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「蕗様は、どんな魔法を使って、あのグラディスを倒したのでしょう」
ミリアが、興奮した顔で、そう言う。
「カルルが、灼熱の炎を、黒いドラゴンに浴びせたそうだが
詳しい話は、近々、蕗が来て、してくれるだろう」
ジュレームも、早く、その話が聞きたかった。
人々の喜びは、緑の国だけでは無かった。
青の国の人々も、赤の国の人々も、もうグラディスとドラゴンに
怯えなくても良いのだと、大喜びをし
二人の国王は、ジュレームに、お祝いとお礼の言葉を贈った。
二日後、人々の興奮が、下火になったので
蕗は王宮に行き、ジュレームと会った。
ジュレームに、白の国で有った事を、すべて話して
「私が、グラディスを倒したと、皆は言っていますが、グラディスの寿命が
それまでだっただけで、私の手柄では有りません」と、困った顔で言った。
「まぁ、良いでは無いか、皆の喜びに、水を差す事は無い」
ジュレームは、そう言った。
「それより、カルルが火を吐いたそうだが、ドラゴンは、みな火を吐くのか?
黒いドラゴンが、火を吐いた事は、一度も無かったが」と、興味深そうに聞く
「ドラゴンの国に居る人は、火が吐けるのは、額に王の印が付いた
赤いドラゴンだけだと言っていたそうです」
「そうだったのか、ドラゴンの女王は、黒いドラゴンと一緒に帰ったのだな」
「はい、カルルも連れて帰りたそうでしたが、カルルは、嫌だった様です」
「カルルは、お前の事を母だと思っているからな~」
そう言うジュレームに、蕗は、グラディスの遺言を守るために
第五の国に行く、許しを願った。
「そんな国が有ったとはな~どんな国か、蕗の目で、よく見て来ておくれ」
「はい、カルルの翼でも、半日は掛かるそうです、暫く留守にしますが
何か有りましたら、病院の方へおいで下さい」
「心配は要らぬ、お前のお陰で、私の家族は、皆元気だ、安心して
出掛けて来るが良い」「有難う御座います」
と、言う事で、蕗は、第五の国へ行く、準備に取り掛かった。
「蕗様、そんな遠い国へお出かけならば、これを持って行って下さい」
「何も知らない国へ、行くのですから、これも」「これも」
屋敷の皆は、心配して、色々な物を持たせようとする。
「有難う、みんな、留守を頼みます」蕗は、皆の心遣いに感謝して
皆の思いやりを、全てカルルの背中に積むと
「行ってきま~す」と、元気一杯で空に飛んだ。
グラディスが教えてくれた方向へ、青い海を越えて行く。
飛んでも飛んでも、見えるのは空と海ばかり、本当に、この先に
そんな国が有るのかと、心配になった頃、島影が見えた。
「有ったっ、あそこだわ」グラディスの言葉通り、青の国より
遥かに大きな緑の島国が、ぐんぐん近付く。
カルルは、その真ん中に降りた「神様だ~」「神様が、おいでだぞ~」
近くにいた人が、大声で、皆に知らせる。
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