第五の国

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「蕗様は、どんな魔法を使って、あのグラディスを倒したのでしょう」 ミリアが、興奮した顔で、そう言う。 「カルルが、灼熱の炎を、黒いドラゴンに浴びせたそうだが 詳しい話は、近々、蕗が来て、してくれるだろう」 ジュレームも、早く、その話が聞きたかった。 人々の喜びは、緑の国だけでは無かった。 青の国の人々も、赤の国の人々も、もうグラディスとドラゴンに 怯えなくても良いのだと、大喜びをし 二人の国王は、ジュレームに、お祝いとお礼の言葉を贈った。 二日後、人々の興奮が、下火になったので 蕗は王宮に行き、ジュレームと会った。 ジュレームに、白の国で有った事を、すべて話して 「私が、グラディスを倒したと、皆は言っていますが、グラディスの寿命が それまでだっただけで、私の手柄では有りません」と、困った顔で言った。 「まぁ、良いでは無いか、皆の喜びに、水を差す事は無い」 ジュレームは、そう言った。 「それより、カルルが火を吐いたそうだが、ドラゴンは、みな火を吐くのか? 黒いドラゴンが、火を吐いた事は、一度も無かったが」と、興味深そうに聞く 「ドラゴンの国に居る人は、火が吐けるのは、額に王の印が付いた 赤いドラゴンだけだと言っていたそうです」 「そうだったのか、ドラゴンの女王は、黒いドラゴンと一緒に帰ったのだな」 「はい、カルルも連れて帰りたそうでしたが、カルルは、嫌だった様です」 「カルルは、お前の事を母だと思っているからな~」 そう言うジュレームに、蕗は、グラディスの遺言を守るために 第五の国に行く、許しを願った。 「そんな国が有ったとはな~どんな国か、蕗の目で、よく見て来ておくれ」 「はい、カルルの翼でも、半日は掛かるそうです、暫く留守にしますが 何か有りましたら、病院の方へおいで下さい」 「心配は要らぬ、お前のお陰で、私の家族は、皆元気だ、安心して 出掛けて来るが良い」「有難う御座います」 と、言う事で、蕗は、第五の国へ行く、準備に取り掛かった。 「蕗様、そんな遠い国へお出かけならば、これを持って行って下さい」 「何も知らない国へ、行くのですから、これも」「これも」 屋敷の皆は、心配して、色々な物を持たせようとする。 「有難う、みんな、留守を頼みます」蕗は、皆の心遣いに感謝して 皆の思いやりを、全てカルルの背中に積むと 「行ってきま~す」と、元気一杯で空に飛んだ。 グラディスが教えてくれた方向へ、青い海を越えて行く。 飛んでも飛んでも、見えるのは空と海ばかり、本当に、この先に そんな国が有るのかと、心配になった頃、島影が見えた。 「有ったっ、あそこだわ」グラディスの言葉通り、青の国より 遥かに大きな緑の島国が、ぐんぐん近付く。 カルルは、その真ん中に降りた「神様だ~」「神様が、おいでだぞ~」 近くにいた人が、大声で、皆に知らせる。
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