第五の国

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無事に帰って来た、蕗を迎えて、屋敷の皆は大きく安堵した。 その日の夕食には、蕗が貰って来た米を炊いたご飯も、一緒に出された。 「これが、ご飯と言う物ですか?」「真っ白で、いい香りがしますね」 皆はそう言って食べると「美味しいですね~」「この甘みが良いですね」 「肉料理にも、魚料理にも合いますね~」と、大好評だった。 「私、前の世界では、毎日これを食べていたのよ」 蕗も、美味しそうに、お代わりをして言う。 食事が終わると、皆は、蕗が行った国の事を、聞きたがる。 「その国はね、青の国の二倍以上も、大きいのに、人口は、少なくてね」 海からの風を避ける為に植えられた、防風林の中は、一面の田んぼが広がり 海との境の浜は、細かい砂浜や、砂利の砂浜 大小の、つるつるの石が有る石浜、岩だらけの磯等、様々な浜が有り それぞれに、違った海の獲物がいて、素潜りで漁をしている事。 また、島の中央は、大きな山が連なり、海からの雲が、そこに当たって 雨を降らせるので、水は綺麗で、とても豊富だった事。 そこに住む人たちは、みんな黒髪で、蕗と同じ肌の色だった事などなど 皆は、固唾を飲んで、話に聞き入る。 「動物は?やはり、馬や牛なども居たんですか?」カラジが聞く。 「牛と、鶏は居たけど、馬や羊は見なかったわ」 「じゃ、移動する時は、どうしていたんですか?」 「殆ど、徒歩だけど、歩くのが苦手な人は、牛に乗っていたわ」 「牛ですか?それでは、急ぐ時は困りますね」「そうだよ、のんびり過ぎる」 チャドも言う「そうね、でも、急ぐ時は、走っていたし 緊急の場合は、狼煙で知らせているって言ってたわ」 「う~む、我々が、鐘を叩いて知らせるのと、同じですね」 ディグがそう言った「そうね、でも、その国には、金属類が無いみたい 畠や田んぼを耕すのも、木で作られた道具だったわ」 「それで、グラディスが持って行った、鍬や鎌を喜んだんですね」 「それにしても、あのグラディスを、神だなどと」と、レイモンドが言う。 「さすがのグラディスも、神と言われては、我々にした様な 悪さも出来なかったんだろうな」花畑を、めちゃめちゃにされたロブは そう言って、ため息をつき「やっと、新しい苗が、活着したよ」と、言った。 黒いドラゴンが、踏み荒らしたので、また、土作りからやり直して うねを作り、新しい苗を植えて、それが、やっと根付いたんだそうだ。 「まぁ、そのグラディスも居なくなったからね これからは、そんな事は起こらないよ」と、マーラが言った。 「そうだね、これからは、平和な、毎日が続くだろう。 蕗様も、少しはのんびりできると思うよ」カラジがそう言った時 「蕗様、赤の国から、火傷をした人が、三人来ましたっ」と ウェルが、知らせに来た。 「こんなに、遅くに?」「はい、何でも、火事が有ったそうで」 「直ぐ行くわ」蕗が、大急ぎで、病院へ飛んで行く。 「やれやれ、蕗様は、まだまだ、のんびり出来そうに無いわね」 マーラがそう言い「まったくだ」と、皆も、頷いた。
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