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無事に帰って来た、蕗を迎えて、屋敷の皆は大きく安堵した。
その日の夕食には、蕗が貰って来た米を炊いたご飯も、一緒に出された。
「これが、ご飯と言う物ですか?」「真っ白で、いい香りがしますね」
皆はそう言って食べると「美味しいですね~」「この甘みが良いですね」
「肉料理にも、魚料理にも合いますね~」と、大好評だった。
「私、前の世界では、毎日これを食べていたのよ」
蕗も、美味しそうに、お代わりをして言う。
食事が終わると、皆は、蕗が行った国の事を、聞きたがる。
「その国はね、青の国の二倍以上も、大きいのに、人口は、少なくてね」
海からの風を避ける為に植えられた、防風林の中は、一面の田んぼが広がり
海との境の浜は、細かい砂浜や、砂利の砂浜
大小の、つるつるの石が有る石浜、岩だらけの磯等、様々な浜が有り
それぞれに、違った海の獲物がいて、素潜りで漁をしている事。
また、島の中央は、大きな山が連なり、海からの雲が、そこに当たって
雨を降らせるので、水は綺麗で、とても豊富だった事。
そこに住む人たちは、みんな黒髪で、蕗と同じ肌の色だった事などなど
皆は、固唾を飲んで、話に聞き入る。
「動物は?やはり、馬や牛なども居たんですか?」カラジが聞く。
「牛と、鶏は居たけど、馬や羊は見なかったわ」
「じゃ、移動する時は、どうしていたんですか?」
「殆ど、徒歩だけど、歩くのが苦手な人は、牛に乗っていたわ」
「牛ですか?それでは、急ぐ時は困りますね」「そうだよ、のんびり過ぎる」
チャドも言う「そうね、でも、急ぐ時は、走っていたし
緊急の場合は、狼煙で知らせているって言ってたわ」
「う~む、我々が、鐘を叩いて知らせるのと、同じですね」
ディグがそう言った「そうね、でも、その国には、金属類が無いみたい
畠や田んぼを耕すのも、木で作られた道具だったわ」
「それで、グラディスが持って行った、鍬や鎌を喜んだんですね」
「それにしても、あのグラディスを、神だなどと」と、レイモンドが言う。
「さすがのグラディスも、神と言われては、我々にした様な
悪さも出来なかったんだろうな」花畑を、めちゃめちゃにされたロブは
そう言って、ため息をつき「やっと、新しい苗が、活着したよ」と、言った。
黒いドラゴンが、踏み荒らしたので、また、土作りからやり直して
うねを作り、新しい苗を植えて、それが、やっと根付いたんだそうだ。
「まぁ、そのグラディスも居なくなったからね
これからは、そんな事は起こらないよ」と、マーラが言った。
「そうだね、これからは、平和な、毎日が続くだろう。
蕗様も、少しはのんびりできると思うよ」カラジがそう言った時
「蕗様、赤の国から、火傷をした人が、三人来ましたっ」と
ウェルが、知らせに来た。
「こんなに、遅くに?」「はい、何でも、火事が有ったそうで」
「直ぐ行くわ」蕗が、大急ぎで、病院へ飛んで行く。
「やれやれ、蕗様は、まだまだ、のんびり出来そうに無いわね」
マーラがそう言い「まったくだ」と、皆も、頷いた。
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