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米作り
翌日、蕗は王宮に出掛け、ジュレームに第五の国、ダーナンの話をし
土産にもらった、米を炊いて、小さな丸いおにぎりにした物を
持って行って、食べさせた。
「なかなか美味しいでは無いか、これは、わが国では、栽培できぬのか?」
もし、栽培できれば、蕗が元居た国の主食が出来、蕗が喜ぶだろう。
ジュレームは、そう思ったのだ。
「緑の国は、水も豊富ですし、気候も会うと思いますが、ダーナンの人に
作り方を、教わらないと、、私が、子供のころ育った農家は
麦と、さつま芋の栽培しか、していませんでしたので」
「そうか、出来る様であれば、蕗の好きな所に、好きなだけ
その田んぼとやらを、作るが良い」ジュレームは、そう言ってくれた。
思いがけない言葉を貰い、蕗は、さっそく赤の国との境に有る
川の周辺を歩き、田んぼが作れそうな場所は無いかと、視察した。
もし、田んぼが作れて、味噌や醤油の作り方も、教えて貰えば
ほかほかご飯に玉子かけと、味噌汁と言う、夢が叶う。
蕗は、三国の病人や怪我人の治療の傍ら、またダーナンへ行く準備を始めた。
だが、リフの花は咲き始めたばかり、あれほど蓄えていた、沢山の薬も
冬の間に使われて、すっかり残り少なくなっていた。
ダーナンへ、持って行く余裕は無い。
リフの花が、もっと咲き、薬が大量に作られるようになるまでは
行けなかった。
やっとリフの花が満開になり、ロブ達が、せっせと摘んだ花が
どんどん運ばれて来る、去年、手伝ってくれた人達が、また集まって
薬作りは、順調に進み、見る見る回復薬の入った箱が、積み上げられる。
赤の国と、青の国に、二箱づつ持って行ったが、まだまだ余裕は有る。
「私、三日ほど留守にするから、花摘みは、三日間休んでね」
ロブにそう言い付け、蕗は、また、回復薬を持って、ダーナンへ飛んだ。
「わぁ~神様が、おいでだ~」ダーナンの人々は、大喜びで、迎えてくれた。
「皆さん、お変わり有りませんか?」蕗は、集まって来た皆を、見回して言う
「お陰様で、大きな怪我をした者も無く、熱を出したり
お腹を壊したりした者も、あのお薬で、治りました」
長が来て、そう言った。
「それは幸いでした、今度は、薬をキャンディにして来ましたから
長持ちすると思います、涼しい所に、保管して下さい」
蕗はそう言って、大きな袋一杯の、キャンディを渡した。
「有難う御座います」長は、その袋を、押し頂いて
「誰か、北の山の洞窟の倉庫に、仕舞って来てくれ」と、言う。
「では、私が」一人の男が、長から鍵を貰って、袋を担いで行った。
「そんな洞窟が有るんですか?」蕗が聞くと「はい、年中涼しくて
いざと言う時の米も、保管しているんです」長は、そう言った。
蕗は、その足で集落を回り、みんなの健康状態を見て回り
治療が必要な人には、治療し、注意やアドバイスも与える。
この前助けた人も、診察したが、二人共、すっかり元気になっていた。
「神様のお陰です」二人の家族は、そう言って蕗を拝んだ。
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