62人が本棚に入れています
本棚に追加
米作りの方法をしっかり学んだ蕗は、緑の国に帰って来ると
ジュレームに会いに行き、将軍ハルドを交えて、ダーナンの話をし
「難破したとみられる、船の残骸が流れ着いたのは
今の長の祖父の時代だったとか、それから、かなり年月は経っています
今は、もっと航海に優れた、嵐にも強い船を作っているかも知れません」
「その船で、この国にも来ると言うのですか?」ジュレームが聞く。
「来ないと言う保証は有りません、来ても、友好的な国民であれば
問題は有りませんが、もし、武力で征服しようと言う様なら困ります」
「う~む、グラディスが居なくなって、軍隊も、だらけて来ているが
これは、気を引き締めさせないと、いけませんな」ハルドが言う。
「そうだな、来てから慌てても遅い、来なければ、それで良いのだ。
今まで以上に、兵士達の力を向上させてくれ」ジュレームの命に
「ははっ」ハルドは、すぐさま、軍の本部へ帰って行った。
この話は、三国の国王会議の議題になり
それぞれの国の軍の強化に励もう、と言う事になった。
また、三国の軍の、合同訓練も、行われるようになった。
一方、蕗は、川から水路を引き、その先に田んぼになる土地を決め
教わった通りに、牛に鍬を付けて、耕やそうとした。
「蕗様、そう言う仕事は、我々にお任せ下さい」ロブが来てそう言い
手の空いた花番達が、交代で田んぼを作ってくれた。
出来上がった、まだ水を入れていない田んぼを見て
「蕗様、ここには、何を植えるのですか?」と、花番達が聞く。
「お米よ、でも、来年の春が終わる頃じゃ無いと植えられないの
それまでは、何でも好きな物を植えて良いわよ」
「本当ですか?」花番達は喜んで、自分の好きな物の苗や
種を持って来て植えて行く。
話を聞いたデルフまで来て、ほうれん草と蕪を植えて行った。
蕪の成長は早い、二カ月すると、もう収穫出来
デルフは、収穫した蕪を使った料理を作り「私が、作った蕪です」と
自慢げに、食卓に出し「今までの蕪より、味が濃くて美味しい」と
蕗が褒めたので、デルフは大喜びだった。
マーラが「美味しいけど、これ、毎日出て来ないよね」と言うと
「心配しないで下さい、蕪は、カルルの好物なので、植えたのですから」
と、デルフが言う「ええっ、カルルにやる前の、毒見役なの?」
チャドがそう言ったので、皆は、大笑いになった。
やがて冬になり、グラディスが居た、白い国には、連日雪が降って
大きく積もったが、緑の国や赤の国には、生活に困るほどの雪は降らない。
青の国には、殆ど雪は降らず、雪遊びに憧れる、青の国の子供達は
カルルに頼んで、緑の国の草原に積もっている雪の上に降ろして貰い
カルルや、緑の国の子供達と一緒に、雪遊びに興じた。
「子供達って、本当に、楽しい遊びを見つける天才だわ」
蕗は、そう言いながら、子供達の遊ぶ姿に見とれる。
最初のコメントを投稿しよう!