敵襲

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その時だった、いつもの様にカルルに乗って遊んでいたジョアンが 海の上に現れた「ジョアン!!」ジュレームが、悲鳴を上げた。 「危ないっ!!」シゼルも、大声になる。 「王子、この場を離れて下さ~い!!」ハルドも、声を限りに叫ぶ。 ジョアンは、建物が壊されているのと、青の国にも、砲撃している所を見て 「そんな事しちゃ、駄目~っ」と、カルルの背中から叫んだ。 カルルは、一直線に船に迫り、その長い尾で船を一叩きした。 船は、帆柱が折れ、横倒しになり、乗っていた者は、全員海に投げ出された。 見ていた緑の国の者と、青の国の者は「やった~っ」と、叫び 「ジョアン様~」「カルル、良いぞ~」と、歓喜の声を上げた。 船は沈んでしまい、折れたマストや、板切れに掴まっている者 重い装備が邪魔で、アップアップしている敵を見て ルシアンは「あの者達を助けよ」と、命じる。 あの大砲が無ければ、怖い物は無い、青の国の兵士や、漁師は 船を出して、溺れている敵を助け上げ、浜へ運ぶ。 だが、船は小さく、乗せられる人数は、限られている。 沖の方まで飛ばされた、三人の敵は、力尽きようとしていた。 そこへ、カルルが泳いで来て、背中のジョアンが 「カルルの尻尾に掴まって」と、声を掛ける。 こんな小さな子がと、驚きながらも、カルルの尻尾に掴まって 浜まで、連れて行って貰った。 「怪我をしている者は、蕗様の病院へ」ルシアンの命で 怪我人は、緑の国の港まで運ばれ、緑の国の兵士が、蕗の病院へ運ぶ。 その船に乗って、ジュレームとシゼルは、青の国まで行き ルシアンと、手を取り合った。 「良かったですね」ジュレームがそう言うと 「これも、ジョアン様と、カルルのお陰です」と ルシアンも、嬉しそうに言った。 そこへ「あ、父上、シゼル、来てたの?」ジョアンが、駆けて来た。 「ジョアン様、お見事でした」シゼルは褒めたが 「本当に、無茶ばかりして」と、ジュレームは、ジョアンを抱きしめた。 それから「でも、溺れていた敵を、助けたのは立派でした」と、褒めた。 敵は、32人で、怪我をした人以外は、青の国の人々の世話で 濡れた服を脱ぎ、体を洗っている間に、洗濯された服は、風の力で 乾かされ、直ぐに、元の持ち主に渡され、さっぱりした敵は ルシアンと、ジュレームの前に、平伏し まず、助けて貰った事に、お礼を言った。 そして「我々は、これよりずっと東に有るラグアと言う国の者です」と 隊長だと言う男が、言った。 「何故、話し合いもせず、いきなり砲撃したのですか?」 ジュレームがそう言うと「我々は、その方法しか、知らなかったのです」 「まず、敵を威嚇して、戦う意欲を失わせて、支配すると言う事ですね」 ルシアンも、そう言った。 「はい、申し訳有りません」隊長は、本当に申し訳ない、と言う顔で言った
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