敵襲

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病院では、全ての怪我人の治療を終えた、蕗が、一息ついていた。 ガノンは、全員の怪我が、すっかり治っているのを見て驚き 「これは、、どう言う事だ」と、部下たちに聞く。 「蕗様が、治して下さいました」部下たちは、蕗の方へ頭を下げて言う。 「この方は、癒しの魔導士様でな、病気や怪我を治して下さる とても偉い、お方なのだ」 ガノンを、案内して来た兵士が、そう教える。 ガノンは、蕗の前に行き、片膝をついて、深く頭を下げ 「襲撃した、敵である我々の怪我迄、治して下さるとは、、 お礼の言葉も有りません」と、言った。 「あら、病気や怪我をしている人を、助けるのは当たり前でしょ。 それが、たとえ敵であったとしても、同じ人間なのですから」 蕗がそう言うと「我々は、その事を、すっかり忘れる様に、教育されました 人の物でさえ、自分が欲しいと思えば、奪ってしまう様にと、、 この国の人々の、優しさに触れ、それは間違いだったと 今、その事に気付いた次第です」ガノンは、目を潤ませて、そう言った。 「間違いに気付いて、良かったですね、憎み合って戦うより 仲良く、お互いを高め合う方が、良いですからね~」 蕗は、にこにこしてそう言う。 こんなに若い娘に似合わぬ、その言葉に驚きながら ガノンは、自分達の、身の振り方が決まった事を話し 「これからも、宜しくお願い致します」と、深々と頭を下げた。 それからのラグアの人は、赤の国から、道具を貰って帰って来た 船大工を中心に、壊した建物の、復旧に取り掛かった。 緑の国の大工達も来て、力を合わせて取り組んだので、復旧はどんどん進み 予定より、うんと早く、元通りになった。 敵だった事など、忘れたかの様に、屈託なく話しかけて来る、緑の国の人に ラグアの人も、すっかり打ち解けて、冗談を言い合う様になっていた。 「それにしても、お前達は、運が良いよ」と、緑の国の大工が言う。 「え?」「カルルだよ」「ああ、あんなドラゴンが居るとは 思いもしなかったです」「尻尾で、攻撃されただけで済んで、良かったよな」 「?」「運が悪かったら、カルルの吐く炎で、丸焦げにされる所だったんだ」 「あのカルルって、火を吐くんですか?」ラグアの人は、目を丸くする。 「ああ、物凄い炎でな、悪さをしていた、黒いドラゴンも それで、やっつけたんだ」「え~っ、ドラゴン迄やっつける炎?」 「まだ、他にも、ドラゴンが居るんですか?」そう言うラグアの人達に 緑の国の大工達は、黒いドラゴンを従えた、闇の魔導士と カルルに乗った、蕗の武勇伝を、話して聞かせる。 「蕗様って、病気や怪我を治してくれるだけじゃ無くて そんなに強い方だったんですか?」「そうとも」大工達は、胸を張る。
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