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「それは、良い考えですね」ジュレームは、直ぐに賛成した。
蕗は、早速、船大工に、その話をする。
「私達の技術が、この国の、お役に立てるのですね、力一杯、頑張ります」
船大工たちは、大喜びをし、許しを貰った森に入り、船の材料を切り出し
板に加工すると、積み重ねて乾かす。
乾かしている間に、川の河口の近くに、造船所を作った。
緑の国の国土で、海に面している部分は、川の河口以外は
全て、切り立った断崖だったからだ。
その一方では、赤の国の鉄職人に頼んで、船に貼る鉄板も作って貰った。
ラグアの人々は、助けられた恩を返すのは、この時だと
全員が力を合わせ、毎日、朝から夜まで働き、8カ月かかって
船は、立派に出来上がった。
船の帆や、ロープは、青の国の漁師達が、夜なべをして、作ってくれた。
いよいよ進水式が始まる、ジュレームや、蕗を始め、国民たちが見守る中
川が深くなっている、中央まで引かれた、線路を伝って
滑るように、川の中央まで行った船は、見事に浮き
川の流れに沿って、海へと出て行った。
「わぁ~っ」「やった、やった」固唾を飲んで、見ていた皆は
躍り上がって喜ぶ、そして、港へと走った。
船は、ゆっくりと港まで行き、岩壁に繋がれた。
その港には、ルシアンとマンセルも来ていて
出来上がった船の、見事さに、目を奪われていた。
そして、馬車で、船を追って来たジュレームと、手を取り合い
「やりましたね~」「これだけ大きければ、どんな荒波も、平気でしょう」
と、喜びを分かち合った。
「さて、船は出来たが、乗り組む人は、どうするかだな」
王宮に帰ったジュレームがそう言うと、蕗が
「処女航海ですから、航海に慣れた人が良いと思います」と、提言した。
蕗の提言を受け、ラグアの人全員と、青の国と赤の国から、代表者が5人ずつ
どうしても、行きたいと頑張るダニエルと
蕗様の傍には、私が居ないとと言う、カラジの二人が許された。
船の名前は、三つの国の人々の、投票で一番だった
「第一、カルル号」と、決まった。
その名にふさわしく、船の舳先には、大きく羽ばたいている
カルルの背に、蕗が乗っている姿が、彫刻されていた。
隊長ガノンと、航海士のロメイは、天候や海の状態などを見て
一番良いと思う日を、出発の日に決めた。
赤の国からは、鉄製品や、ガラス製品などが積み込まれ
青の国からは、漁で使う網や、魚の加工品などが積まれ
緑の国からは、回復薬の他に、チーズやハム等の、肉の加工品が積み込まれた
「出航!!」ガノンの合図で、船は岸壁を離れた。
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