敵襲

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船と並走して、カルルも飛んで行く。 「カルルも、行っちゃうんだ」子供達が、寂しそうに言う。 「カルルは、蕗様を、お母さんだと思っているからね いつでも、一緒に居たいんだ」その子の親が、子供に言い聞かせる。 船は、一杯の風を受け、順調に海を行く。 「天気も上々、良い航海になりそうですね」ガノンの言葉に 蕗も、皆も頷いた。 だが、その夜、風はパタリと止まり、帆は、だらりと下がってしまった。 カラジ達が、両手を広げて風を送ったが、カラジ達の力では 重くて大きな帆を、動かす事は出来なかった。 「これでは、潮に流されてしまう」ガノンは、全員に命じ、櫓を漕がせた。 大きな船を、人力で漕ぐ、船の進みは、カタツムリの様に、のろのろだった。 朝が来た、ブリッジの後ろに、鉄で作ったカルルが休める場所が有る。 そこで寝ていたカルルに、蕗がやって来て、背中に乗ると 「カルル、船が進まないの、ロープを引っ張ってくれる?」と、言った。 「カル~~」カルルは、返事をすると、飛び上がり、蕗の指示に従い 舳先のロープを口で銜え、更に両足でも掴んで、船を引っ張り始めた。 「あれ?」急に、船が軽くなり、漕ぐのが楽になった皆が驚いていると 「カルルが、引っ張てくれているんだ、今のうちに、皆も頑張ってくれ」 ガノンが来て、そう言う。 「よっしゃ~っ」元気になった皆は、力一杯漕ぐ。 船は、飛ぶように海の上を走る、やがて、はるか彼方に、島影が見えた。 「もう少しだ」そう言った時、風が戻って来て、船の帆が大きく膨らんだ。 「カルル、ご苦労様、もう良いわ」蕗はそう言って、カルルを、休ませた。 ガノンも「皆、良くやった、もう大丈夫だ」と、皆を労う。 「カルル、有難う」カラジが、カルルの好きな肉を持って来た。 「ル、ル、ル」カルルは大喜びで、それを食べる。 蕗が、その頭を優しく撫でた。 「何か来たぞ~っ」浜辺に居た、男が大声をあげる。 「何だ、何だ」「船じゃ無いか?」集まったダーナンの人々は 不安な目を、海に向けたが「あっ、カルルだ~」子供がそう言って、指差す。 船の上から、カルルが、飛びたち、船と並んで飛び始めた。 ぐんぐん近付く船の舳先に、蕗の姿を見つけた皆は 「蕗様だ~っ」「蕗様が、船でおいでになったぞ~っ」と、皆に知らせる。 船は、浜辺の手前で錨を降ろした。 まず、蕗、カラジ、ガノン、ダニエルが、船から降ろした小舟に乗り ダナンに上陸する「蕗様、ようこそ、今回は、船でおいでになるとは」 知らせを受けて、駆け付けた長が、そう言って、蕗に頭を下げる。 「吃驚したでしょ、今回は、大人数で来たの 皆が泊まれる場所、有るかしら」「有りますとも、ささ、こちらへ」
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