敵襲

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先に降りた蕗達は、長の後に付いて行き、残りの皆は、積み荷を次々に降ろす 降ろした積荷は、ダーナンの人々が、長の家の前の広場に、持って行った。 カルルは、もう、子供達との遊びに熱中している。 長は、その広場の右側に有る、大きな建物を指差し 「ここは、集会所として、使っている所です、ここを、皆さんの宿舎として お使い下さい」と、言った。 「有難う御座います」蕗がお礼を言い、カラジは、積み荷を降ろし終えた皆に各々の、身の回りの荷物は、ここへ置く様にと、教えた。 そこへ、女達が、おにぎりとお茶を持って来た。 皆は、おにぎりを食べ、お茶を飲んで、一休みすると、広場へ置かれている 木の箱の傍へ行く、まず、青の国の代表が、箱を開け、漁に使う網や 太いロープ、鉄の先が付いている、銛や、釣り道具などを出した。 「わぁ~っ」周りを取り囲んでいた人々から、歓声が上がる。 次に、赤の国の代表が、箱を開け、鍬や鎌、センバ等の農機具や 鉄製の鍋や、ガラス瓶などを取り出すと、また、大きな歓声が上がる。 最後に、緑の国からは、何時もの回復薬と、チーズやハムなどが出て来て 「わぁ~」これは、主婦と子供達が、特に大きな喜びの声を上げた。 「こんなに、素晴らしい物を沢山頂き、誠に有難う御座います」 長は、皆を代表して、深い感謝の言葉を言った。 カラジが「皆、夕食の時間まで、ダーナンの人の迷惑にならない様に 好きな事をしていてくれ」と、乗組員に、言った。 ダニエルは、さっそく、ダーナンの教師だと言う人に頼んで ダーナンの生物調査に、いそいそと出掛け、青の国の代表者は 海辺の集落に行って、網の使い方などを、教え始めた。 赤の国の代表者は、前に使っていた道具を持って来させ 錆を落としたり、切れなくなった物を、研いでやったりしている。 ダーナンの人々は、その道具の使い方と、技を学ぼうと、熱心に見ていた。 蕗は、前の船では、コックをしていたと言う、ラグアのコボスと言う男を連れ 女性達の所へ行って、コボスに、持って来た鉄の鍋を使わせ ソーセージを、焼かせた、良い匂いに、子供達が集まって来る。 コボスは、ソーセージを、一口大に切って、子供達の口に入れてやった。 「わぁ~、おいひい~」子供達は、喜んで、外へ駆けて行った。 「後は、頼むわね」そこはコボスに任せて、蕗は、病人や怪我人を診に行く。 コボスは、女達に、持って来てもらった野菜や玉子を使って ハムや、チーズの料理を作って見せた。 女達は、次々に質問しながら、自分でも作ってみようと、鍋を持つ。 その夜は、歩き疲れたと言うダニエルと、出産が始まりそうだと言う 蕗以外の皆は、集会所で、ダーナンの人々からの、ご馳走に舌鼓を打っていた 「このお酒、美味しいな~」「米で作っているそうだ」そう言う一方で 「いや~緑の国のワインと言うお酒も、実に旨い!!」と ダーナンの、男達が言い、お互いの酒の旨さに、酔っている。 酒が進めば、歌も出る、お互いの国の歌を、順に歌っては、手拍子を取る。 挙句に、踊り出す者もいて、夜更けまで、賑やかだった。
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