国交

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病院へ着いた蕗は、ダニエルの腰や足の痛みを取ってやり、回復薬を持たせた 「有難う御座います、これでダーナンの研究が、進められます」 と、ダニエルは、喜んで帰って行った。 ダーナンからの産物は、三つの国に均等に分けられた。 皆は、見た事も無い果物に目を瞠り、その味に喜び、もっと食べたいと願った だが、米や醤油や味噌は、どうして使うのか分からず 帰って来た、第一カルル号の乗組員に、聞きに来る。 それを聞いた蕗は、デルフに頼んで、米料理と、味噌や醤油の使い方の レシピを作らせ、赤の国や、青の国にも配らせた。 三つの国では、一挙に日本食ブームが沸き起こった。 子供達の麻疹も下火になり、やがて完全に治まった。 蕗は、一息つく間もなく、新しい回復薬作りに、精を出す。 カラジやマーラは、蕗の身体を心配し「少し、お休みなさいませ」と 勧めるが「大丈夫よ、一晩眠れば、元気になるから」と、蕗は笑って言う。 元の世界では、この年頃の時も、蕗は過酷な労働を強いられていた。 これ位へっちゃらだ、どんなに疲れても、デルフが作る美味しいご飯を食べ マーラたちが整えてくれる、清潔な寝具で、ぐっすり寝れるのだ。 私を支えてくれる、皆の為にも 一人でも多くの、病人や怪我人を治してやらなくては 少しでも、皆の生活が、豊かになる様に、働かなくては それに、母と慕ってくれる、可愛いカルルもいる。 蕗は、今の張りのある生活に、満足していた。 三国の国王会議で、赤の国も青の国も、正式にダーナンとの国交を 開始する事に決め、細かな条約を交わす為に 次の船で、大使をダーナンに送る事になった。 大使と共に、ダーナンの生活を知るための留学生として 若い男女が18名、一緒に行く事になった、それを率いるのはダニエルだ。 蕗は、カルルに乗って、ダーナンへ行き、長にその事を伝えた。 長は、喜んでそれを受け入れると言い、早速、留学生の為の宿舎を 用意する様にと、村人に指図した。 港には、帆船そのものが横付けされる様に、長い突堤が作られていた。 「まぁ、随分、頑張ったんですね」蕗が驚くと 「はい、働ける男は、全員参加して作りました」と、村人もにこにこして言い 「今度は、留学生とやらの、宿舎作りです」と、言う。 「有難う、今度は、女性も9人居ます、宜しくお願いします」 蕗は、大事な事を伝えると、蕗が来たと知って、集まって来た 病人や怪我人を診察するために、長の家に戻った。 その診察と、治療が終わると、蕗はカルルに乗って、僻地へ行き 前回来た時に取り上げた、赤ん坊の成長具合を見に行った。 赤ん坊は、たっぷりのお乳を貰って、まるまると育っていた。
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