国交

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蕗は、王宮に行くと、ジョアンや双子の王子と王女の、健康状態を診て ミリアにも、体調は変わりないかと聞いた。 「お陰様で、いたって元気に過ごしております」ミリアは、膝を奪い合う 双子の相手をしながら、幸せそうな顔で言う。 ミリアの部屋を出た蕗は、ジュレームの執務室に行き シゼルを交えて、ダニエルから知らされた、留学生たちの様子を 話してやり「ダニエルさんから、託ったカカオで、こんな物を作りました」 と、チョコレートを食べさせた。 「苦いが、美味しい」二人は、同時にそう言った。 「これは、チョコレートと言いまして、体に良い物です 一日に、二粒程度お召し上がり下さい」蕗は、そう言って チョコレートが入っている、紙袋を、シゼルに渡した。 そこへ「父上、シゼル、、」と、ジョアンが入って来て、目ざとく袋を見ると「それって、キャンディでしょ、私も欲しい」と、目を輝かせて言う。 「ジョアン様、これはキャンディではございません。 チョコレートと言いまして、大人が食べる物です」蕗はそう言った。 「そうなんだ、ジョアンも、大人になったら、食べられるよ」 ジュレームはそう言ったが、ジョアンは、納得できない顔だった。 仕方なく、蕗は、チョコレートを割って 一番小さな欠片を、ジョアンに食べさせた。 「うわ~っ、苦~い」ジョアンは、その苦さに驚く。 「だから食べられないんですよ」シゼルが、優しく言った。 「分かった、大人になるまで、我慢するよ」さすがにジョアンも諦める。 蕗は、チョコレートを数粒、お湯で煮溶かして、ミルクと混ぜれば 体が温まる、飲み物になると教えて帰った。 「ダーナンには、本当に珍しい物が多いですね~ 私も、一度行って見たいものです」シゼルが、そう言うと 「私だって、行って見たいよ」と、ジュレームが言う。 「それは駄目です」「何で?」「蕗様の話では、怖い病気や、毒を持つ 虫や動物が居るそうですからね、そんな所へ、陛下を行かせられません」 「それを言うなら、お前だって、行かせられないよ」「えっ」 「えっじゃない、忘れたのか?お前は、私の一番大事な人なんだぞ」 「陛下、、」「いつでも、傍に居てくれると、言ったではないか」 「申し訳有りません、大事な事を、一時でも忘れたのは このチョコレートの所為で御座います」 「チョコレートの?うまく逃げたな」「あっははは」二人は、笑い合った。 ミリアは、蕗が教えてくれた、ココアの虜になり 「もう、チョコレートが、残り少なくなったわ」と、嘆いた。 その話を聞いていた蕗は、次にダーナンに行った時に、ダニエルと会い カカオの木を、もっと栽培したいと告げた。
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