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「玲、こっちとこっちどっち?」
百貨店の水着売り場で未玖は両手に水着を持って振り返った。
右手には白地に鮮やかなオレンジ色の花が咲いた三角ビキニ。
左手には、トップスはシンプルな濃紺だが、ボトムは夏らしいペイズリー柄のクロスビキニ。同じ柄のパレオも付いている。
「うーん。未玖はこっちが似合うんじゃない?」
玲が指したのはオレンジのビキニだ。
大柄の花がとても目立って、目鼻立ちがはっきりした未玖によく似合う。
未玖はうーん、と悩む。
悩みながら玲の持つ水着を横目にした。
玲は割と地味な色を選んだ。
地味、というか、大人っぽい色だ。
カーキのようなモスグリーンのような、アースカラーと呼ばれる肌馴染みの良い色。
恋人が五歳年上で会社経営をしている。
それに加えて玲自身、童顔なことを気にしいているのだろう。
ホルターネックの露出を抑えた控えめなデザインだった。
「それか、こっちで色違いにしない?」
未玖はフリルが付いたビキニを手に取った。
ピンクや黄色と可愛らしい色違いもある。
「可愛すぎる」
「そんなことないわ」
「とりあえず着てみようよ」
未玖は仕方なく頷くと、玲に言われて試着室に向かった。
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