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ーーーピンポーンとインターフォンが鳴った。
画面に映るのは、玲の恋人でこの家の主だった。
未玖はリビングに設置されていたドアフォンを見て、玲に梓が帰ってきたことを伝える為に部屋を出た。
玲は今、昔買ったデニムのショートパンツを探していた。先ほど未玖が自分の水着を着ているのを俯瞰して見て、ショートパンツがあった方がいいと気づいてしまった。
確か、デニムあったよね。
どこに閉まったけ?と思いながらクローゼットを全開にして探す。しゃがみ込んでいる背中を見つけた未玖は玲に声をかけた。
「玲?旦那帰ってきたよ」
梓はいつも玲に「おかえり」と出迎えて欲しくて、ちゃんとインターフォンを押して帰りを知らせてくれる。
それを知っている未玖は、一応マンションのエントランスの扉を開けた後玲に報告した。
「え?早くない??」
「仕事、早く終わったんじゃない?」
「えーー、聞いてないよー」
玲はむすーっと唇を尖らせる。
別に言われたところで何も変わらないが、帰ってくる時間を前もって知っていれば少なくとも未玖にこんな提案をしなかった。
「いいじゃない。その恰好で『おかえり』って出迎えてあげなよ」
未玖はニシシシと悪い顔で笑う。
玲はええーと躊躇う素振りを見せているものの、一緒に風呂に入っている以上、別に水着ぐらいって思う。
玲は玲で梓がどんな反応をするのか少し楽しみにしながらいつものように玄関に向かった。
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