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緊張してがちがちな子ども達と一方で、とにかく落ち着かない子ども達がいる。
椿は前を向いてちゃんと行進しているが、
環は時折チラッと保護者席を見ては照れそうになる口元を必死にごまかしていた。
怜空は右手と右足が同時に動き、沙菜はきょろきょろと見渡して、父と母を見つけた途端にパッと笑顔を見せる。
苦笑する雅と呆れる綾乃。
未玖と玲はクスクス笑う。
「ママの血が濃いナー」
「正確には私じゃないわ」
凌に反論する綾乃。だがこそっと雅が「同じだと思う」と呟く。
それを聞いていた綾乃は雅を睨んだ。
綾乃が言うに、娘は百々子に似たらしい。
だが、雅から見ればお転婆具合も表情も綾乃そっくりだ。どんどん似ていく娘が少々不安になるほど。
それに誰に似たのか損得勘定は大人顔負け。
そんなところ似なくていいのに、と雅は思う。
「りっくん、ガチガチね」
「普通にすればいいのに」
未玖と玲は怜空の様子を見て笑う。
凌は緊張気味の息子の成長を眩しそうに見ては、買ったばかりのカメラを構えてシャッターを切るのだった。
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