もしも梓が猫だったら

6/8
前へ
/95ページ
次へ
 「アズキー、寝ないの?」  玲が風呂から出てきたのは知っている。  でも、俺はリビングのキャットタワーの一番上で拗ねて不貞腐れていた。  「おいで」  玲が下から俺を見上げて呼ぶ。  けど、やっぱり素直に飛び込めない。  「……ぶにゃ」  嫌い。あいつ嫌い。  玲は俺のなんだ。未玖は許すけど雄は許せない。  「……そんなに嫌だったの?」  嫌いだ。アイツ、玲にデレデレして。  玲は俺のなのに、人の女にちょっかいだそうとする。  「未玖の時はここまで嫌がらなかったのに」  未玖は玲を奪わない。  けど、あの雄はダメ。  「……アズキが嫌ならもう来れないわね」  「にゃあ、ふにゃぁあ」  (あいつに会わないで。嫌い)  「わかったわ。もう連れてこないから」  連れてこないけど、会うの?  玲はあの男、好きなのか?  俺がいるのに、浮気か?  どうしてだよ。  俺の方がカッコよくてしなやかで玲のこと愛してるのに。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2659人が本棚に入れています
本棚に追加