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君はあの時の!……緑藻!?
「3週間前、お会いしてるはずなんですが、ほんとに覚えてないですか?」
3週間分の記憶をフルスピードでめくる。
こんなゾンビに遭遇していたら、記憶に残っていないはずがない!
「3週間前っていったら、確かゼミのやつらと阿寒湖に行ってワカサギ釣りした頃か……」
「そうですそれです! 思い出しました?」
「ワカサギ釣りでゾンビには会ってないぞ」
「あのとき、釣糸に引っ掛かった私をあなたは助けてくれましたよね?」
「はぁっ!? 釣糸!?」
「そうです。3週間前あなたに助けていただいた緑藻です」
「緑藻!? いや、ゾンビどっから出てきたの!?」
「私の夢は直径30センチを越えるマリモになることなのですが、釣糸に引っ掛かって釣りあげられてしまったのです。
ここで枯れゆく運命と諦めかけたまさにその時! あなたの手が優しく私をつまみ上げ、水の中へと戻してくださったのです」
「ああっ、戻した! あの時針に引っ掛かってた緑藻、確かに戻したよ!」
僕は我が身に該当する記憶があることで、興奮を覚える。
しかしながら目の前のゾンビ少女とは一向に結び付かない。
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