ブラッド・ムーン

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「……以上で、僕の発表を終わります」  とある街の小学校の、高学年のクラス。  緊張した面持ちで男の子が「今日のスピーチ」を話し終えると、ぱらぱらと拍手が起こり、男の子は照れくさそうに自分の席に着いた。  それを拍手で送りながら、年配の女教師がクラスメートを見渡して言った。 「よくできましたね、ジョン。今度の皆既月食にぴったりの、不思議なお話しでした。では、来週5月26日の皆既月食、皆さんもぜひ、おうちの人と一緒に観察してみてくださいね」  安心顔になった男の子に、隣の席の女の子がひそひそと声をかけた。 「今の話、ほんと? ほんとにあったこと?」  男の子は首をすくめた。 「まさか。……おばあちゃんから聞いた。ただの昔話だよ」
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