闇がりと後悔

2/10
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
 この番組を見たのは小学生ぐらいの時だっただろうか。今思うと番組の内容は他愛もないものだが、これを見た当時は面白がって見ていたのを覚えている。  そういえば、あの日の出来事も小学生の頃だったな。今日のように台風が近づいてきていて、天気が荒れていた。今でもあの日のことは忘れられない。 ―――――――――  騒がしい目覚まし時計によって心地よい睡眠が妨げられ、今日も一日が始まる。自室からリビングへ向かうと、キッチンで朝ご飯の調理をしている母親と目が合った。 「おはよう、朝ご飯もうすぐできるから待ってて」  僕は眠たい目をこすりながら、うん、とだけ返事をして椅子に座った。  覚醒もしていないまま何気なくテレビを見る。毎朝見ている情報番組の男性アナウンサーが今日の天気について快活に話をしている。朝だというのにテレビの向こうの彼らは元気そうだ。 「台風18号が今日の夜ごろから明日にかけて接近する見込みです。お昼から天気が悪くなると予想されますので、お出かけの際は傘を持っていくことをお勧めします」  どうやら台風が来ているらしい。明日が平日なら学校が休みになる可能性もあったのだろうが、残念ながら明日は土曜日、学校はない。休みの日に台風が来るなんて運がない。遊びに行くことができない。 「今日、天気悪くなりそうね。傘、持っていきなさいよ。それと、今日は仕事で遅くなりそうだから晩御飯は自分で何とかしてくれる?」 「うん、わかった」  僕の家は共働きのため、夜ご飯を一人で食べるということがしばしばある。父親は夜遅くまで働いているため、晩御飯を一緒に食べるということはたまにしかない。母親は夕方くらいに帰ってくることが多いが、今日のように遅くなることもある。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!