闇がりと後悔

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 朝ご飯を食べ、支度を終えると学校へと向かった。空気が生暖かく風が強めだが、台風が来るとは思えないくらい晴れている。嵐の前の静けさというやつだろうか。  いつもの通学路を歩いていると、目の前に見覚えのある人物が僕の前を歩いていた。嘉齋静(かさいしずか)だ。  静とは幼馴染だ。静の母親と僕の母親の仲が良かったため、その関係で僕と静は幼い頃はよく一緒に遊んでいた。小学校低学年くらいまでは登下校も一緒だったほどだ。しかし、高学年になるにつれてお互い別の友達もでき、一緒に何かをするということも減っていった。それと同時に話すことも少なくなっていった。五年生になった今もクラス自体は一緒なのだが、話す機会は少ない。もちろん、嫌いになったわけではない。少しだけ距離ができてしまってからというもの、なんとなく話しかけづらくなった。  このまま静の後ろを歩いて学校まで行ってもよかったのだが、避けているような雰囲気を出したくなかったので、挨拶だけして通り過ぎることにした。静の近くまで追いつき、声をかけようとしたがあちらの方から話しかけてきた。 「おはよう」 「うん、おはよう」 「最近どう?」 「うーん、ぼちぼちかな。静は?」 「私もぼちぼちかなあ」  そうなんだ、と僕が言うと会話が切れた。取り立てて話すこともなく気まずい空気が流れる。 「ところでさ、(わたる)。今日の放課後……」 「渡、おはよう。今日の一時間目、体育だろ。早く行って体育館で遊ぼう」  静が何かを言いかけたタイミングで、誰かが僕の肩を軽い力で叩き、静の言葉は遮られた。声のした方を振り向くと多喜良明(たきよしあき)、通称、よっしーがいた。よっしーはその場で足踏みをして、急いで学校に行きたそうな様子を見せていた。 「わかったよ。すぐ行くから先行ってて」 「おっけー、早く来いよな」
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