闇がりと後悔

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「大雨、暴風警報が出ているため今日の授業はこれで終わりになります。歩いて帰ることは危険なので各々親御さんに迎えに来てもらってください。親御さんとの連絡には学校にある公衆電話を使ってください。また、親御さんを待っている間は教室にいると窓ガラスが割れたりする危険もあるため、体育館で待つことになりました。それでは今から体育館に移動しますので皆さん荷物をまとめてください」  学校が早く終わるのは嬉しかったが、憂鬱な気分でもあった。両親ともに仕事のため、この悪天候の中歩いて帰らなくてはならない。学校が早く終わるのなら、今日を休みにしてくれればよかったのに。  一人で早く家に帰っても退屈なので、僕は皆と一緒に学校に残って時間を潰すことにした。  いつも見慣れている体育館だったが、異質な今日の雰囲気は僕に非現実的な感覚を与えた。悪天候によって日光が遮られた様子はまるで夜の暗さをもたらしているようで、友達と学校に泊まりに来たような気分だ。 体育館で仲のいい何人かの友達と集まって、他愛もない話をしながら時間が流れた。  時間が経つにつれて体育館の生徒の人数は減っていき、僕の友達も次第に帰っていった。友達の中で最後まで残っていたのはよっしーだった。人の減った体育館を見渡しながらよっしーは僕に話しかけた。 「渡はいつごろ迎え来んの?」 「来ないよ。今朝、母さんから仕事が忙しくなりそうって言われてたから電話もかけてない」 「まじかよ。じゃあなんで残ってたんだ?」 「なんとなくかな。帰っても暇そうだったし」 「なんだよそれ」  よっしーがくすくすと笑い、体育館のステージ横に設置してある時計を見る。 「俺の親、あと20分くらいで来るけど乗ってく?」  僕からしたら願ってもみない誘いだった。しかし、体育館にわざわざ残って自分の親の迎えがないことを話した手前、よっしーにそのセリフを言わせたようで気が引けた。
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