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詰め寄るサミュエル氏に対して、医師は頭を抱え、しばらく返答がなかった。
「先生! もしかして原因が分からないんですか?」
サミュエル氏が更に問いかける中、隅の方から状況を伺っている星読み先生たち。
やがて、医師は何かを思いついたかのように、表情を曇らせて告げた。
「これは・・病気なんかじゃない! この子たちは、邪悪な者の手によってとらわれている!」
驚いて、サミュエル氏は聞き返す。
「え⁈ 病気じゃない⁈ ・・先生! この子たちは、悪の手によって苦しめられているんですか⁈」
医師は、続けて説明した。
「その通りだ! 悪魔は自らの代理人。つまり、魔女を通じて世界に災いをもたらそうとしているんだ!」
生汗をかきながら、恐ろしい程の形相で訴える医師の言葉に、一同は驚愕する。
「そんな・・まさか。」
その場の床に、膝ごと崩れ落ちるサミュエル氏。
「お気の毒に。」
医師は、そう一言だけ告げて帰っていった。
落胆しているサミュエル氏に、星読み先生は歩み寄り、励ましの言葉をかける。
「子供さんたちを救いましょう。」
それから数日のうちに、村の中で悪魔に取り憑かれた人が出た、という噂は広まっていき、セイラム村に不安と動揺が伝播していった。
そして、2月25日。
サミュエル家の隣人メアリー・シブリー氏が訪ねてくる。
色白で長い髪をした夫人だが、普段はあまり接する機会がない仲だ。
応対した使用人のティテュバに、メアリー・シブリー氏は話をする。
「お久しぶり、ティテュバ。お宅のお子さんたちは、本当にお気の毒でしたね。村中あちこちで、魔女の噂が広がって。」
「ああ。シブリーさん、わざわざ気にかけてくださって、ありがとうございます。」
ティテュバは、家の入口で対応した。
その後すぐに、メアリー・シブリーは深刻な表情に変わり、ティテュバに進言する。
「あのう。要らぬお世話だと思うんだけど。・・昔からイングランド地方で伝わっている、『白魔法』の方法を使ってみては、どうかしら?」
「『白魔法』・・ですか?」
「ええ。その方法を使えば、誰が魔女なのか、見破る事ができるのよ。」
メアリー・シブリー氏は、瞬きもせずに、見開いた目で訴えた。
後日、メアリー・シブリー氏が教えてくれた、その『白魔法』の方法を実施してみる事となる。
サミュエル氏は、最初は気が進まず、馬鹿げたあり得ない方法だと拒絶したが、他に手段もなく、未だ娘たちの原因が魔女の仕業ではない事を信じていた為、渋々『白魔法』で調べてみる事を承諾した。
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