ケース7️⃣ 前世追憶

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メイドは申し訳なさそうにしながらも、星読み先生のその表情に救われた様子で、話しかけた。 「星読み先生。今日も、前世や運勢を見てあげたりしたんですか?」 「そうですよ。私は天文学や占星術を学び、幼き頃より人の前世を見通す力を頂いてますので。人のお役に立つのならば、いつでも。」 星読み先生は、笑顔で答える。 その時、また誰かが訪ねてきた。 「すいませ〜ん。」 応対すると、現れたのは全身を防寒着で包んだ中年男性で、重そうな荷物を幾つも背負っている。 「食糧や生活品などを販売しておりますが、いかがですか?」 どうやら、行商人のようだ。 そう言われて、星読み先生とメイドは、荷物を下ろし中身を見せる、中年男性の所に歩み寄った。 腰を下ろして、さっそく品定めをするメイド。 「おお〜、これは珍しいわねぇ。」 そんな時、行商人が何気なく話す。 「いや〜先程、セイラムの村に行ってきたんだが。何か大変な事が起こっていたよ。」 その言葉に反応し、星読み先生は聞き返した。 「大変な事?」 「ああ。何か子供が二人、変な発作のような病気を発症したみたいで。可哀想に。大した事なければ良いが。」 星読み先生の表情が、険しいモノに変わる。 行商人と一緒に、商品を見ているメイド。 黙っていた星読み先生が、突然声をあげる。 「メイド! すぐに支度して! 行くよ!」 不意に言われたメイドは、何の事かと理解出来ない顔で尋ねた。 「え? 星読み先生。行くって、どこへ?」 遠くへ視線を向けた表情で、星読み先生が答える。 「セイラムの村へ!」 「え⁈ え〜⁈ セイラムへ? 今からですか?」 突然の事に戸惑うメイド。 星読み先生は、堂々とした口調で告げた。 「今からよ! 馬で行けば、1時間程で行ける!」 「はぁ・・。まあ、そうですが。」 そう言いながら、メイドは渋々立ち上がる。 聞いていた行商人も、広げていた商品を片付けはじめた。 メイドはバタバタと慌てて、準備に取り掛かる。 「やっぱり、かなり寒いでしょうねぇ。」 支度をしながら、メイドが言った。 星読み先生は、体を包み込むような大きな防寒着のローブを着込みながら答える。 「寒いけど、この辺の地方は、大雪は降らない。だから、道中は問題なく行けるはずよ。」 メイドは星読み先生の、セイラムへ行く揺るぎない決心を確認し、仕方ないといった風な諦め顔をした。 二人は、家の裏の納屋に繋いであった2頭の馬へと跨《またが》る。 冷たい風が、まるで二人の行手を遮っているかのようだった。 やがて、星読み先生とメイドは、まだ日が明るいうちに、セイラムの村に到着する。 ここは、セイラム港から内陸へ数km 入った小さな集落。 1672年に、セイラム村として独立したのだ。 レンガ調の家が立ち並んだ村は、どこか物静かで、行き交う村人も愛想がなく、二人をよそ者の目で見返した。 そんな嫌悪な雰囲気を感じながら、二人はまず村の宿屋を探す。 村の一画に宿屋を見つけ、馬を降りて入っていった。
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