12人が本棚に入れています
本棚に追加
松田が大きな身体で、狭そうにしながら助手席で話していく。
「まあ、そこはまだ確定出来ないが。偽名であろう四姉妹の名前だが、分かっている範囲では、長女のメグ19歳。次女のジョオ18歳。三女のベス13歳。四女のエイミー10歳だ。とにかく、あの四姉妹を確保すれば、事件の何かがハッキリするはずだ。」
「そうですね。ところで、先程の電話の従兄弟の方も、何か情報があったんですか?」
江戸川が聞いた。
「ああ、ダグラスか。アイツ、機密事項だからって、詳しい事まで教えてくれなかったんだ。」
「じゃあ、情報は得られなかったんですね。」
改めて腕組みしながら、松田が話しを続ける。
「う〜ん、まあ詳しい事は教えてくれなかったが・・・。実は、これまで調査してきた裏情報から、あの四姉妹の一人が、ダグラスと同じ特殊部隊の諜報員だった可能性があるんだ。」
「え? ・・・え〜⁈ あの四姉妹の中に、特殊部隊に所属していた人物が・・・。」
車内に響き渡るような驚きの声をあげて、江戸川が蒼ざめた。
驚愕の情報に、更に江戸川が質問する。
「その従兄弟の、・・えっと、ダグラスさん、ですけど。所属していた特殊部隊、って・・・。」
「ダグラスは、今では最前線の特殊部隊からは引退しているが。本格的な特殊訓練を受けたエリートの諜報員。つまり、超エリートの戦闘員って事だ。」
松田は、少し苦笑いしながら答えた。
「え⁈ そんな凄い部隊なんですか⁈ そこに所属していた女性・・。」
江戸川は、焦りと混乱をみせる。
「まあ、その特殊部隊に所属していたなら、男だろうが、女だろうが、ヤバいヤツって事だ。ハハハ。」
松田は言った後、苦笑した。
「いや〜、松田さん。笑い事じゃないですよ。本当に、ヤバいですよ。かなり危険です。そこに、四姉妹の一人が所属していた可能性がある、って・・・。まあ、そういっても、年齢から考えて、可能性があるのは、四姉妹のうち姉二人のどちらか。19歳の長女か。18歳の次女ですね。」
「そうだな。どんなに優秀でも、子供は入隊出来ないからな。」
江戸川が、深刻な顔をして話を続ける。
「う〜ん・・。じゃあ今後、もしも確保とか逮捕になった場合、その特殊部隊に所属していたほうには、要注意するべきですね。」
「そうだ。普通の女の子と思っていたら、逆にヤられるだろう。」
あくまでも冷静を装って、松田が告げた。
「そのダグラスさんは、他に情報は教えてくれなかったんですか?」
真剣な江戸川の顔。
「ダグラスは俺に対しても、機密事項は教えられないと頑固だ。これ以上、聞く事は無理だろう。ただ・・・、俺がしつこく聞き返した時、その特殊部隊にいた女性の特徴を教えてくれた。」
「え⁈ 特徴・・⁈ 何ですか、それは⁈」
江戸川は、食い付くように聞いた。
松田が、チラリと江戸川の方を見て答える。
「特殊部隊にいた、その女性は、背が高くて、黒髪だ。」
「黒髪?・・アメリカ人で、黒髪なんですね。」
二人の乗ったスープラは、薄暗くなりかけた町並みへと走り去っていった。
———— ケース8に続く ————————
最初のコメントを投稿しよう!