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「なぁ、穂乃果。少しいいか?」
「ん、何?」
「俺の話を少し聞いてくれ。そして、その話を聞いて気持ちが変わったら言ってくれないか?」
「え、うん。分かった。」
婚姻届けを書いてもらう前に異動の話をしても良かったのだが、俺は穂乃果に提出はしなくとも婚姻届けを書いてもらいたかったから。俺はドイツに行くともう決めている。部長にはまだ返事をしてはいないけれども、次出勤した時には伝えるつもりだ。
「ドイツに、行かないといけなくなったんだ。」
「ドイツ?」
「そう、ドイツだ。俺が働いている会社がドイツに支社をだすこととなった。そこで本社から一部の社員を数年だけドイツの方に異動させることとなったんだ。その異動する社員のうちの一人が俺。もちろん、無理についてきてもらう必要はないが……」
「ついていくからね!」
「いいのか?」
「うん。話はそれだけ?なら、さっさと予定を決めなきゃだね。結婚式もやりたいから式場にも行かなきゃ。」
あぁ、まったく。穂乃果は俺が不安な時に俺の欲しい言葉をくれる。
そんな穂乃果が愛おしい。
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