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祖母の告白に、アレッシーは立ち尽くします。最愛の祖母に怖がられていたことに、胸は張り裂けそうなほど痛みました。
「でも、貧しいままに生きていられたころは、私は貴方と共に生きていて幸せでした。お金がない、そのことが、私を罰してくれているように思えたの」
「足が悪いと、私はそう聞いていて……」
「嘘よ」
アレッシーは、盲目です。
祖母の足のことは、まるで見えません。祖母が自分の両足で歩くことができ、さらには元兵士として、今なお街を駆け抜けられるほどの体力があることなど、ちっとも知りませんでした。
「嘘なのよ、アレッシー」
「でも、喜んで……」
アレッシーの体は、したたかに、床にたたきつけられました。祖母が間近で吠える声が聞こえてきます。
「喜ぶわけがないっ! あのまま、あのまま、私はあなたの祖母として死ねたらよかったのにっ!! そうしたら私は『王国人』とバレなかったのにっ!! あんたのためにあたしは死ぬんだ! これから死ぬんだ!! あはは、あはははっ!」
そのあとのことを、アレッシーはよく覚えていません。
「これで満足でしょう、国王陛下! 麗しい戦争孤児を育てる王国人など! 不要なのでしょう!!」
祖母がどれほど叫んでいたのか、分かりません。
頭の中に羽虫でも詰め込まれたかのように耳鳴りがして、アレッシーは音がよく聞こえなくなっていました。ただただ、抱きしめてくれたストラの手と、そのぬくもりだけが、彼のすべてでした。
そして、今日この日の晴れ舞台に祖母を連れてきたことを、酷く後悔していました。
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