眇目の青空

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 噂は街と館を越え、やがてアレッシーの耳にも入りました。彼は、大変に喜びました。 「王様に認められたと知ったなら、おばあ様もきっと、この家でともに住むことに、頷いてくださるはず!」  このころには、彼はすっかり立派な家を持ち、盲目の者の世話に長けた使用人を何人も抱えていました。貧民街全体の暮らしが良くなるように、多数の投資も行っています。しかし、何度説得しても、祖母はあの貧民街の小さな家から、出てこようとはしません。  しかし、王からの頼みとなれば、話は別かもしれません。  喜び勇んで、アレッシーは祖母の説得に向かいました。 「……分かりました、アレッシー。共に王宮へ向かいましょう」  王の名の効果は、抜群でした。とうとう、祖母が頷いたのですから。  そして。それから1ヶ月が過ぎたある日のこと。アレッシーはストラと共に祖母を馬車に迎え入れ、王が待っているという公爵家の館へ向かいました。アレッシーは、祖母の手を引いていました。彼の白い杖はささくれた木の棒ではなく、滑らかな石を使ったものに変わっています。  突然のことでした。  辺りから、アレッシーが聞いたこともないような、恐ろしいほどの怒号が響いたのです。 「アレッシー、こっち!」  ストラが手を引いてくれたおかげで、アレッシーは無事でした。代わりに、祖母の手が、アレッシーから離れていきます。 「おばあ様!!」  悲鳴を上げたアレッシーを、ストラが抱き留めます。その先で、金属の恐ろしい音と、複数の男が『動くな!』と叫ぶ声が響きました。 「アレッシー、君は……何も、知らなかったんだね?」
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