眇目の青空

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「何の話ですか、ストラ様……おばあ様が、どうなってしまったのです? どうして」 「大丈夫、大丈夫だ。でも。そうだよね、君にとって、唯一の家族だから」  ストラはアレッシーをかばったまま、前へ進み出ました。 「陛下。どうか、お聞き届けください。アレッシーは、何も知りません。そこなるものの本当の姿を、何も知らないのです。どうしてわかるでしょう。暗闇に住む彼に、彼女のことが分かるでしょうか? いいえ、分かりませんとも」  凛と響いた彼の声に、騒動が、今度は水を打ったかのように静まり返ります。困惑したまま、アレッシーはストラの隣でその灰銀に輝く目をゆったりと瞬かせます。  彼がスターダムにのし上がったのは、その美貌だけが理由ではありません。  盲目……眼が見えないというのに、まるで世界を見ているかのような、美しい立ち振る舞いが人々の心をつかんで離さなかったのです。 王は席より立ち上がり、祖母を床に押さえつける騎士に命じます。 「その『王国人』を椅子に座らせよ」 「しかし、陛下」 「祖母として、そのままやってきたのが何よりの証拠。……終わらせてやろう」  何が起きているか分からないまま、アレッシーは王の声が聞こえる方を向いていました。 「済まなかった、アレッシー。大丈夫だ。さあ、おばあ様。どうかこちらへおかけください、我が兵が無礼なことをいたしました」 「陛下……ありがとうございます。さあ、アレッシー。私の顔を撫でてごらん」  祖母はアレッシーに手を伸ばさせ、そっと自分の顔を撫でさせます。 「……おばあ様?」 「アレッシー。よく聞いてください。……私は王国人です」
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