私の日常は珈琲と共に

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 (ごめんね真澄……。それからいつもありがとう。  でも……本当は今日のお花見合コン。  バイト先に言えば早く帰らせてもらえたんだよ。  早く帰らせてもらって、一旦帰宅して服装を整えてここに来る事も本当は出来たの)  「真澄、相変わらずヘアアレンジが上手だね。ありがとう」  「良いの良いのっ!これは私の新しい恋への一歩でもあるんだから。朝香の為でもあるけど私の為でもあるの」  「ふふっ、2人共優しくて良い人かなぁ」  「朝香のお相手予定の人は特にねっ。なるべく優しいって評判の人を紹介してもらう予定よ」  私へのヘアアレンジが完了したら、真澄はメイクブラシを手にして私の顔の前に立った。  「ちょっと、目を閉じていてね」  「うん」  真澄に言われるがまま、私は(まぶた)をゆっくりと下ろす。  ……と、その直前、真澄の軽やかでお洒落な刺繍が入ったスカートが私の視界にチラリと入り込んだ。  (私とは真逆の、可愛いスカート……。  やっぱり、ここまで可愛くなくてもスカートは穿()いてくるべきだったかなぁ)  そんな考えが頭を()ぎったものの、すぐに両目をギュッと固く閉じて首を左右に振る。  「あっ!瞼に力入れたり首を振ったらダメだってば!!」  「ああ……ごめんね、真澄」  「大丈夫?緊張してる?」  「……多少は」  真澄に苦笑いの口元を見せた私には、既にお花見合コンの後にやってくる帰宅の電車の心配が波のように押し寄せていて……。  お花見合コンを思いきり楽しむ事は出来ないだろう。という予想を自ら立てていた。  「恋愛して自分を変えたい」って思う。  だけど、真澄みたいな可愛いスカートを履くのに躊躇(ためら)ってしまう気持ちも強く残っている。  (だって……。このお花見合コンが終わる時間になったら、1人で夜の満員電車に乗り込まないといけなくなるから……)  楽しい筈のお花見合コンに暗い影を落とす満員電車。    「よしっ!メイクも完了っ!!今夜の朝香は特別可愛いよ♪」  「ありがとう真澄」  「緊張はしなくて良いの。一緒にジュース飲んでお菓子やピザ食べてお話するだけっ!  もっと気楽に考えようよ。……ねっ?」  「うん……そうだね」  苦笑いの口元を更にクイッと上げて、笑顔を真澄に向けてみせた。  (満員電車が怖いけど、でも今は楽しんでみよう。せっかくの夜桜見物だし、真澄が私の為に色々動いてくれたんだし……)
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